ギリギリの攻防戦

フライの雑誌社から単行本を出す約束をしておきながら、ときどき失踪する寄稿者さんから久しぶりに電話をいただいた。書けない理由と苦悩をじっくりうかがう。聞いてみればあなた昔から少しも変わってませんねという予想通りの状況である。
いまどきの表現者としてはたいへんなリスペクトに値するが、社会人としてはいかがなものか。「相変わらずですねえ。そんな状態をいつまでも続けていると、そのうち胃に穴があきますよ」。ふと思いついて、「まあその前におれの胃に穴あくけどね」。我ながらうまいこと言った、と思った。