セブンのドーナツとフライマンとミワコについて

正しいおっさんヘンタイ・フライマンのわたしなのに、巨大コングロマリットの軍門にひれ伏してしまうようで情けない感じなのだが、小腹のすいた深夜に自分でたてたコーヒーといっしょにいただくセブンイレブンのドーナツは正直おいしい。安いし。

とりあえずもちろん全種類食べてみた。そこらへんは気にいったフライマテリアルは全色揃えたくなるフライマンの習性として正しい。そして、こういう場合は「フライフィッシャー」ではなくて、「フライマン」と自称するのがもちろん正しい。

釣り仲間で高校の同級生のミワコ(♂)が大学生のとき、JR八王子駅前のミスドでアルバイトしていた。同じく駅前のくまざわ書店本店でアルバイトしていたわたしは、ときどきミワコから「食べる?」とドーナツをもらった。力仕事の本屋バイトが終わった後にかじるドーナツはおいしかった。

ミワコはいいやつなので、ミスドの同僚の女子高生や、大学の女子たちから、行く先々でたいへんにモテモテだったと周囲から聞いている。毎日毎晩アプローチかけられて、それはもうすごかったらしい。しかしミワコはなぜかニコニコするばかりで1ミリも揺らがなかった理由は、いまだに謎だ。

そんなミワコは卒業・就職してすぐに、ものすごく美しい彼女ができてそのまま結婚し、幸せな家庭を築いた。今じゃミワコは白髪まじりのただのパパだが、「モテてモテて、」というあざやかな過去があったのは間違いない。

モテてモテて、という過去をもった男と、そういうの経験していない男とは、歩いてきた人生の内実において埋められない溝があると思うが、ミワコは昔と変わらずわたしとときどき一緒に釣りをしてくれる。

だから、ミワコが働いていたミスタードーナツにはがんばってほしい。

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振り向いても釣り師。
振り向いても釣り師。