琵琶湖の帰り道に信州の渓流へ寄った。どこへ行こうか、事前情報なし。頼るのは、自分のこれまでの釣り人生のなかで培ってきた、野生のカンのみだ。わたしのカンは、100回に一回くらいはあたることもある。これは自慢やで。(関西帰りなんですんまへん)
他人さまに教えてもらったポイントで釣っても、それは他人さまが釣ったのと同じ。とは言わない。でも、自分がいただく食事は、学校や刑務所で決められた餌を与えられるより、分厚いメニューから自分で選ぶほうが楽しいに決まっている。と、これもあまり穏当なたとえではない。だって世の中には、昨日と明日の釣りの情報提供を生業としている方がいらっしゃる。むしろあからさまに不適切な表現だ。ま、フライの雑誌社の本はポイント紹介とか載せないからブーメランは飛んでこないちゅうことで、ええんちゃいまっか。
山田風太郎先生は「あと千回の晩飯」と書いた。わたしが自由に渓流釣りをできるのは、あと千日もぜったいない。今日は、知らない川へ行きたい気分だ。サービスエリアのテーブルでぼろぼろの「中部マップル」をひろげて、よさそうな川を探した。この季節にぴったりの、半日だけでもそこそこの釣りを楽しめそうな、お魚のたくさんいる川は、どこにあるだろう。あるのかなあ?