パピルス発明以来の大不況。

季刊の『フライの雑誌』の場合、1年に4回、忙しさが集中する時期がある。まさに今がそのタイミングにあたる。年に4回でこんなにたいへんなんだから、月刊誌や週刊誌を作っている人たちは、どれだけ超人的な日々を強いられているのだろうと心配になる。

といっても私も今は、とりあえず目の前に山積みになっているしごとに精魂を傾けるだけで手いっぱいだ。申し訳ないけれど、月刊誌や週刊誌を作っている人たちを心配したからといって何ができるわけではない。ごめんなさい。

出版業界は100年に一度ならぬ、パピルス発明以来と言われる大不況のさなかにある。しかもおそらくこのまま凋落するいっぽうだ。重々それを分かった上で、あえて雑誌作りなんていう面倒で貧乏な仕事にぶら下がっている人々はどのみち好きでやっているのに決まっている。私を含めて。だから本当のことをいうと、月刊誌や週刊誌を作っている人たちのことなんて私はじつはまったく心配していない。愛があれば未来なんていらない。胸はって心中しようぜ。

そんなことより私は、カブラー斉藤氏の次号原稿が、締め切りを10日間過ぎても来ない事実の方が、目下よっぽど気になる。督促しようにも例によって電話も「お客様の都合で…」になって雲がくれとはどういうわけか。なに様か。カブラー様か。カブラーに発行日が左右される雑誌なんて『フライの雑誌』だけである。いわば毎号毎号カブラーに無理心中させられそうになっているわけである。矛盾しているようだが、こんな生活もういや。