ライズを待ちながら

8月、新潮社さんが超高い自費出版印刷プランをあたらしく打ち出したのは話題になった。そんなご提案に引き続き、今度は「ホテル缶詰め執筆プラン」をセールス。

文豪御用達で有名な山の上ホテル(こないだ下水道代金をごまかして追徴されたとこ)で、自分史や小説といった自費出版本の原稿にくるしむ執筆者を「缶詰」にする。で、付き添った編集者が随時打ち合わせや校正のお手伝いをする。一泊二食付き二万四千円から。

扉の外に控えた新潮社さんの社員が「先生、お原稿はまだでしょうか」と催促してくれる。ものすごく時給高そうな高級執事である。文豪気取りのど素人につき合わされてるこの執事、腹の底でなに考えてるか分からないぞ。その前にだれかに缶詰にしてもらわなくちゃ書けない「自分史」ってなんなんだ。

執事が霊言書けばいいんじゃないか。

新潮社さんが仕事に困ってるとは思えないから、意外とふつうに自分たちが執事ごっこで遊びたいだけなのかもしれない。執事、流行りだし。

フライの雑誌社だったら、川辺で誰かといっしょにライズを待ちながら、
「ねえ、今日のこれ書いて」
「えー」
「いいじゃん」
「えー。釣れたらね」

近刊『バンブーロッド教書』と次号『フライの雑誌』第98号の最新情報

「編集長」とアジノモト