京浜河川事務所多摩出張所さんへの質問と回答

2月24日朝、浅川長沼橋湯殿川合流点で重機が動き始めた。浅川の土手へ砂利搬出路を作るための工事だという。湯殿川の河口を重機が切り崩して、川を渡り、浅川左岸へ運んでいる。

長沼橋周辺の砂利採取工事に際し、湯殿川の河口をいじるという説明は、京浜河川事務所さんから今まで一切なかった。

そこで、京浜河川事務所多摩出張所さんへ質問を出した。

さて、搬出入路を作るにあたり、湯殿川河口に積んであった土砂が使われています。湯殿川河口の土砂は、東京都南西建さんが2015年11月に積み上げたものと思います。そのことについて以下質問させてください。

1. 湯殿川河口に積み上げていた土砂は、東京都の管轄ですか?

2. 京浜河川事務所は、東京都管轄である湯殿川の工事内容を基本的には管理していないとおっしゃっていました(2015/12/8発言)。搬出路建設にあたり、京浜河川事務所は初めから湯殿川河口の土砂を使用するつもりだったのですか? 

3. 湯殿川河口に積み上げた土砂を浅川の工事に使うつもりだとなぜ最初から言わなかったのですか? 

4. 京浜河川事務所管轄の浅川と、東京都管轄の湯殿川が関連する治水行政の、住民への窓口は機能していると考えますか? 今後どうするお考えですか?

お忙しいと思いますがご回答をどうぞよろしくお願いします。

今日の現場写真を添付します。

電子メールで14:38に送信したところ、17:45に京浜河川事務所多摩出張所から電話で回答をいただいた。

1. 湯殿川河口に積み上げていた土砂は、東京都の管轄ですか?

→ 回答) 積み上げてあった土砂は東京都の管轄域。今回使っている土砂は、河口へ自然に堆積した土砂の方で、国の管轄域。河口へ自然にたまっている土砂はいつか撤去しなければいけないと従前から考えていた。

2. 京浜河川事務所は、東京都管轄である湯殿川の工事内容を基本的には管理していないとおっしゃっていました(2015/12/8発言)。搬出路建設にあたり、京浜河川事務所は初めから湯殿川河口の土砂を使用するつもりだったのですか? 

→ 回答) 湯殿川は東京都の管轄なので、管理していない。搬出路工事に際し、2/23に施行建設業者から河口の土砂を使っていいかという依頼があって、OKを出した。

3. 湯殿川河口に積み上げた土砂を浅川の工事に使うつもりだとなぜ最初から言わなかったのですか? 

→ 回答) もともとは湯殿川河口の土砂を使うつもりはなかった。そもそも以前から東京都から湯殿川河口部の土砂を掘ってくれという依頼があった。今回使ったのはその土砂だ。 

先様の対応と説明がたいへん冷静で論理的なので、わたしはなんだか疲れてしまった。自分の質問のピントの外れ加減にもウンザリした。だって河口の土砂が誰の物かなんて、わたしのオイカワ釣り場にはどうでもいいことだった。そんな質問を投げかけてる時点で、役人の論理に絡めとられている。わたしはまったくどうしようもないばかだ。

仕方ないので、担当者さんへ伝えた。「河口が東京都の管理だろうが国の管理だろうが、ほんというと住民にとっては関係ない。それより大事なのは、今日重機が入って潰したのはオイカワが毎年産卵している場所だってことだ」。そして、「たぶん今年はオイカワは産卵しないだろう。管轄の多摩川漁協は抗議どころか、把握すらしていないんでしょうけれどもね」と付け加えた。

すると、担当者さんからは

住民の方には色々なご意見があることを承知している。しかしそのすべてを反映させることはできない。わたしたちは治水を最優先にして河川管理を考えざるを得ない。

と言われた。まったくごもっともなご回答だ。だからわたしは、

「これまで何十年も続いてきた日本の河川治水行政は、どこかしら間違っていると自分は思っている。世の中としても過去を見直す流れになっているようだ。あなたには申し訳ないけれども、わたしみたいな面倒くさい住民がそれぞれの地元の川でひとこと、ふたことを行政へ物申すことで、生きものが暮らしやすい川を守ろうという方向へ、少しずつ世の中の流れを持っていくしかないと思っている。」

と言った。

生きものが暮らしやすい川は、人間も気持ちのよい川だ。残念ながら今の日本の川はそうじゃない。住民にできることは観察すること、関わりつづけることだ。多少見当外れでも小声でもウンザリしながらでも自信がなくてもいいから、直接行政へ自分の意見を言うことだ。

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『葛西善蔵と釣りがしたい』(2013年5月16日発行)
『葛西善蔵と釣りがしたい』(2013年5月16日発行)