今年の夏がこんなに暑いのは、

いま日本では毎年新刊が約8万点も発行されているらしい。一日あたりなら200点もの新刊本が版元から発行されている計算だ。夜空の星の数よりも多いのではないかと思うそれだけの本たちが、それぞれ一人でもたくさんの読者を求めて続々と世の中へ送り出されていく。

でも送り出される本があまりにも大量すぎるために(そもそも日本語で書かれたそんなに大量の本を読めるだけの人間が世の中にはいないのだ)、ページを一度も開かれることなく天の川の塵と消える本も多い。むしろ、送り出される前に塵芥確定となっている本の方が圧倒的だ。(こんな状況は長くは続かない、続いてはいけないと思う)

そんな現代にあって、一冊の本が見知らぬひとりの読者と出会い、こころたのしく読まれる確率は天文学的僥倖である。つき合う前の織姫と彦星が天の川で出会い頭にごっつんこして恋が芽生え、妬いた天帝のいやがらせをものともせずに、その後ずっといっしょに幸せに暮らしました、よりむずかしいかもしれない。

地方・小出版流通センターさんの昨日8月12日付けの新刊速報を見ると、お盆前だからだろうか、いつもよりひときわ点数が多い。どんな本も、幸運であるようにとの祈りをこめて版元から世の中へ送り出される。とくに地方出版や小部数出版物には本の作り手からの濃厚な胸いっぱいの願いと愛がこめられているのが、ちょっと泥くさい感じのこれらの表紙の画像から伝わってくる。

そして今年の夏がこんなに暑いのは、半年ぶりに出た『フライの雑誌』の第100号記念号が、この新刊速報リストのいちばん上に載っているからなのです。

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フライの雑誌 第100号記念号
フライの雑誌 第100号記念号
新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』も胸いっぱい。
新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』も胸いっぱい。