「今から110年前、長野県の川にサケ、サクラマス、サツキマスそしてアユが海から遡って来ていた。ダムが無くなればまたそういう時代がやってくる」。
これは、2003年5月18日、長野県須坂市のシンポジウム「日本の川(湖)と魚を考える」での筆者の発言だ。このシンポジウムにはブラックバスのリリース禁止とからんで、田中康夫長野県知事がパネラーとして参加していた。
長野県まで新潟県を通過してサケやサクラマスがやってくるなど信じがたいことだが、人の力があまり大きくなかった時代にはそれが当たり前のように行われており、それをヒトが利用していたと考えられる。そのことを、『フライの雑誌』2006年初冬号(第75号)の特集◎釣りバリの進化論は教えてくれる。
長野県南佐久郡の北相木村公庫博物館には北相木川の畔にある「栃原岩陰遺跡」から出土した骨角製の釣りバリと一緒に出土した魚の骨が展示されており、それについて、藤森英二学芸員は・・・
近刊『桜鱒の棲む川』本文書き下ろしより、一部を紹介しました。