僕らの未来を少しでも気持ちよく

小社新刊『宇奈月小学校フライ教室日記 先生、釣りに行きませんか』へ、とある新聞社さんから取材を受けた。描かれた風景への共感が静かにじわじわと広がっているたしかな感触がある。

ただ単純に釣りの、フライフィッシングの喜びを突きつめる本と、釣りにはこだわらずとも世の中へ何らかのメッセージを発して、あわよくば僕らの未来を少しでも気持ちよく変えてみたいという本と、小社は新しい単行本を企画するとき、大きくこの2つのどちらかの思いを込める。

『宇奈月小学校フライ教室日記』は後者のほうだ。『宇奈月小学校フライ教室日記』は乾燥したアスファルトの歩道にポトンと落ちる蒸留水でいい。すぐに蒸発するかもしれないが、その瞬間は潤う。そして願わくばそのままちょっとした水たまりにでもなってくれないか。この本が長靴履いた子どもの足跡になってどこかへ勝手に歩いていってくれれば、編集者としてこんなにうれしいことはない。

さて、『フライの雑誌』次号第83号はただいま最終の制作中です。予定通りの発行は、そうとうきびしいDEATH。