こころのなかで否定しつつも、なぜか吉田昌郎さんと木口小平さんが重なる。
吉田昌郎さんは、東工大卒、東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学専攻、東京電力執行役員、初代原子力設備管理部長ののちに、福島第一原子力発電所所長になった。原子力エリートといっていいのだろう。
事故を起こした福島第一原子力発電所の現場責任者であった吉田昌郎さんに関して、「あなたがいなかったら福島第一原発事故はもっとひどかったろう」と讃える言説がある。満58歳で病没。
木口小平さんは、大日本帝国陸軍の二等卒(二等兵)。尋常小学校修身書に「死んでもラッパを口から放しませんでした」と英雄的に書かれた。軍国教育のイコンだ。満21歳で戦死。
わたしは吉田昌郎さんと木口小平さんに関して、wikipediaで拾った以上の情報を持っていない。時代もプロフィールも死に方も異なるこの二人の人生の姿が重なるというのは、わたしの頭の中でのことだ。
そしてさらに、わたしの勝手なイメージの連鎖は、〈原発ジプシー〉を主人公とした映画「生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ党宣言」へと続く。
バーバラは15年ほどむかし、19歳のときにコザ暴動で沖縄をはなれたヌードダンサー。その恋人の宮里は、原子力発電所の定期検査にたずさわる、いわゆる原発ジプシーだが、今は暴力団の手先になっている。
バーバラは、元教師の野呂と一緒に旅に出て、久しぶりに福井県を訪れた。この地で彼女は、昔なじみのアイコと再会。アイコは頭の弱い娼婦で、「アイちゃんですよ。ご飯食べた?」が口癖。足抜けをはかったために、ヤクザに追われている。そんなアイコには、原発で働く安次という恋人がいたが、死んでしまったという。
ところが安次の墓に出向いたバーバラと野呂は、実は安次が生きていることを知る。安次は、原発事故で放射能を浴び、事故の詳しいことを知っていることがばれるのを恐れて、死んだふりをしていたらしい。アイコと安次は、「じゃぱゆきさん」マリアとともに逃亡をはかるが、暴力団に見つかり、殺されてしまう。 … wikipedia
この先、木口小平さんのような死に方をするひとをつくっちゃいけないと、わたしは以前から思っている。讃えられようが銅像になろうが、死んでしまえばそれまでだ。だから死ぬな! 生きろ! というのが教育だと思っている。
で、そこでこういう大バカ者のことなど思い出してしまい、キモチわるくなっている。国のために死ねと叫ぶ政治家は率先して死んでほしい。
ちなみにわたしが2番目に嫌いな歌は「インターナショナル」だ。あれは死ね死ね団のテーマソングだ。うたわせるのはもちろん、死ね死ね団の首領に決まっている。
死んだら釣りができないじゃないか。(堀内)