今年も来るかなあと思っていたら、やっぱり雨戸を締めきったままの在庫部屋の戸袋のなかに、ムクドリが巣をつくった。
たしかに「巣をつくってください」と、こちらからお願いしているような構造ではある。もしわたしがムクドリの親なら、ぜったいフライの雑誌社の戸袋に巣を作るに違いない。
親ムクドリがえさ取りから帰ってくると、腹を空かせたひなたちが、いっせいにギョワギョワと騒ぎだす。仕事に集中しているとき、壁の中からとつぜんギョワギョワ声がひびいてくると、それはそれでぎょっとする。ポーの小説じゃないんだから。
ムクドリたちを追い払おうと思えば、雨戸を毎日あけしめするとか、戸袋を叩くとか、いくらでも対処の方法はあるだろう。でも放置を決め込んでいる。戸袋のなかでムクドリが子育てしている編集部のほうが、たのしい本を作れそうな気がするからだ。
しかしギョワギョワうるさいなー。