小学生と土手を散歩していたら、バカ草(センダングサの類い)が、我が世の春とばかりに枯れ誇っていた。小学生が「ねえねえ、この中に飛びこんでみてよ」と大人をからかってきたので、お望み通り、背中を思いきり突き飛ばしてさしあげた。
小学生はバカ草へ頭からまともに突っ込んだ。倒れ込む寸前で見事な横受け身をとったために、全身にまんべんなくバカ草がくっついた。バカ草の中で受け身をとるなんてよほどのバカだ。立ち上がったら小さな弁慶みたいになっていて大笑いした。
「信じられない、親のくせになんてひどいことをする、いたいいたいいたい」と、小学生は言った。
きみがバカ草の海へ飛び込みたいと言ったんだろうに。
「言ってないって!」