『フライの雑誌』にも広告を出してくださっている、北海道の釣りと野遊びの雑誌・季刊『釣道楽』の最新第5号が発売された。今号の表紙は、推定メーター級のイトウをぶら下げた釣り人のアップ。半開きの口元が言葉にならないなにかを物語ってくる。
『釣道楽』では、毎号名だたる道内の釣り師をとりあげ、インタビューを軸にしたノンフィクションで人となりに切り込む特集を組んでいる。今号は、かつてイトウ釣りの名川として知られた尻別川の畔に生きて来た一人の男の足跡をたどる趣向だ。サブタイトルは「尻別川のイトウとともに。」
この雑誌を手にとった多くの出版関係者は、「いまどきこんな雑誌がやっていけるなんて…」と呆れる。出版業界の実状を知るひとが「すごいねえ」と思わずつくため息には、かるい羨望が混じる。もちろん私も小さく嘆息する一人だ。
クオリティの高い写真を完ぺきに表現した豪奢な印刷には、日々印刷代との格闘を続ける者としてほれぼれする。編集者の趣味と個性を丸出しにした独自の編集方針には、創刊以来1ミリのブレもない。こうした雑誌が長くつづくことこそが出版文化を守ることだし、自分のつくる雑誌もひと様からそう言われるようになりたいと願うのである。
ちなみに発行元である碧風舎さんのウェブサイトは、創刊からかるく一年以上過ぎたというのに、いまだにわけのわからないランタンの集合写真とともに「現在工事中」の文字がさんぜんと輝いているだけ。ものすごく凝ったキレイなサイト作れとは言わないから、せめて注文のメール対応くらいしたらいかがですが、と言い続けているのだが、当の社長さんは
「ん~、わかった、わかってます。はい。すいません。だっていそがしいんだぁ。」
とか言って、羆のような身体を揺すって釣りに行ってしまうのである。その独自すぎる世界観だけは改めたほうがいいと思うのだが。
季刊『釣道楽』第5号は、税込価格1,890円+1冊送料110円。通信販売は、(株)碧風舎(へきふうしゃ)まで冊数、ご住所とご氏名を記載してFAX.011-826-6918でご注文ください。サンスイ、アングラーズパラダイスで扱いあり。
(株)碧風舎:〒007-0802 北海道東区東苗穂2条3丁目4-48
実は『釣道楽』今号の釣行記には、顔出し実名出しで私がバーンと載っている。美しいニジマスとでっかいイトウを抱えたカラー写真つきなので、なんともこそばゆいというか、自慢で鼻の穴がふくらんでしまう。