管理社会の権化みたいなETCなんて絶対に使うもんかと長らく思っていたが、去年から導入したところ遠乗りが多い釣り人には各種のETC割引はとてもありがたい。だけどしょせん雀の涙みたいな割引のために大切な釣りの予定を機械の都合に合わせるのは、人として微妙に情けない気もする。といいつつ深夜割引してほしくて朝3時に自宅を出発。まだ真っ暗だぞ。
『フライの雑誌』へ広告を出してくれている小淵沢の「ジンバ・フライフィッシングエリア」は、白州の名水と源を同じくする山間の小さな池だ。発眼卵から育てた年越しのいかついニジとブラウンが岸際のえぐれに潜む。釣り人のグループが自主管理しているのだが、ゲストは利用料金を水辺の木箱へ入れてあとは勝手に釣りをするホスピタリティにあふれた釣り場である。私は午前中にいい型を3本上げて満足。ジンバ代表でベテランフライフィッシャーマンの鈴木順三氏が用意してくれたランチをいあわせた釣り師たちといっしょにいただく。『フライの雑誌』に「きたりもん釣り倶楽部」を連載してくれている地元在住の作家でジンバの運営理事でもある樋口明雄氏ともお会いできた。
ぽかぽか陽気にいい釣り、おいしいゴハンに気持ちのいい仲間とくれば、罪も報いも後の世も忘れ果てて呵呵大笑である。釣りを趣味にしてよかったなと思うのはこういうときだ。一人の釣りもいいが仲間と遊ぶ釣りもいい。