放射能はぐるぐるまわる。

カリフォルニア沖のクロマグロから福島セシウム

去年8月、カリフォルニア沖でクロマグロを捕獲し、放射性セシウムの濃度を調べた。その結果、15匹のクロマグロで1キロ当たり最大10.3ベクレル、最小でも同2.9ベクレルだった。半減期が約2年と短いセシウム134が検出されたことから、福島由来と断定。 (毎日5.9

去年9月号の岩波『世界』〈放射能汚染時代〉に載った「まぐろと放射能」(水口憲哉氏)の予測が実証された。同時期に発行した『フライの雑誌』第94号の〈特集2◎〝放射能汚染時代〟の魚の選び方〉でも紹介した。

>〈放射能汚染時代の魚の選び方〉水口憲哉 全文無料公開中

福島県沿岸海域で海水と餌生物経由で放射性物質を取り込んだこれら回遊魚が、いつどこで獲れるかはわからない。

マグロの放射能に関する世界で最初の調査研究は、ビキニ環礁における米国の水爆実験の影響を調べるものである。広島、長崎に次いで三度目の被曝を受けた日本人の手によるものであった (まぐろと放射能)

薬害、被ばく、石綿などなど権力が隠したがるやばい系のことほど、〈科学的に実証〉されたときにはもう遅い。科学者ってなんのためにいるんだろう、とふと思うことがある。お行儀がよくて批判精神を発露できない科学者は、たいてい大きな波に呑まれて、肝心な時に役立たない。

50数年前、ビキニ水爆実験で汚染され、日本で水揚げされた水爆マグロは、概ね10〜90ベクレル/kgで廃棄された。

放射能は時間と太平洋をかるがる越えてぐるぐるまわる。

『フライの雑誌』第94号