ブラックバスは生態系に影響を及ぼす特定外来生物だが、
「生態系に影響をおよぼす」という紋切り型の表現を無批判に使う時点で、自社取材していないことを暴露している。
相変わらずよくこんな政府公報そのものの記事を書き、かつ載せられるとむしろ感嘆。ブラックバス絡みでは、勝ち馬に乗りたがる──つまり権力志向の朝日体質がもっとも顕著に現れる。
朝日新聞はいい仕事をするときもあるのだから、がんばってほしい。
│ブラックバスの漁業権継続を諮問 山梨県、管理委に – 朝日新聞デジタル
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ブラックバス排斥論者のお里が知れる事実。
全国ブラックバス防除市民ネットワークの事務局長で、元環境省自然環境局長の小林光さんは「バスの経済効果に頼る地元がバスから脱却できるように、国や県がもっと促すべきだった」と指摘。「県は『例外を認めた国のせいだ』、国は『漁業権を認めたのは県』と言い、問題を放置している」と話す。
※全国ブラックバス防除市民ネットワークは(独)環境再生保全機構 地球環境基金の助成を受けています
ブラックバス排斥論の急先鋒組織へお墨付きを与えているバックは環境大臣。
(独)環境再生保全機構
■主務大臣、主務省
(1)役職員及び財務・会計等に係る管理業務 環境大臣
(2)民間団体による環境保全活動の支援業務及びこれらに附帯する業務 農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣及び環境大臣
(3)(2)の業務以外の業務 環境大臣
記事中発言者の肩書きへ、わざわざ元環境省自然環境局長とつけるとは、朝日新聞は官民連係でのブラックバス叩き利権の後押しをしているとしか思えない。
ブラックバス問題に関する朝日新聞の不見識には呆れる。
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食害、客減少 来年から放流取りやめ 西湖のヤマメと早川のアユ、コイ
10年に1度の内水面漁業権免許の更新に伴い、山梨県は3日、西湖漁協(富士河口湖町)のヤマメ、早川漁協(早川町)のアユとコイについて、漁業権の対象魚種から除外する漁場計画案を、県内水面漁場管理委員会に諮問した。各漁協の意向を受けた対応で、来年から3魚種の放流が取りやめになる。西湖ではヤマメがヒメマスなどを食べる食害が深刻化。早川は釣り客の減少などが理由だが、ファンからは放流中止を惜しむ声も上がっている。(2013/7/4 山梨日日新聞)
いわゆる外来魚問題、ブラックバス問題については仕事でも個人的にもこの20年以上関わってきて、正直なところうんざりしている。しかし年を追うごとに大勢がとんちんかんな方向へ進んでいるように思うので、発言せずにはいられない。
上記の記事、西湖のヤマメに漁業権が認可されていたことのほうに驚き。西湖ですぜ。しかもヤマメによる食害ってすごい理由づけだ。クニマス大事か? クニマスも移入種だから西湖の生態系を壊す、クニマスを駆除しようという声は出ないのだろうか。
日本の内水面漁業行政はご都合主義の極み。西湖クニマスのドタバタについては『フライの雑誌』第92号で水口憲哉氏が記事を書いている。題して「ほっといてくれ」。