釣りビジョンさんの携帯サイトのコラムにこんな文章を書いた。
発行したばかりの新しい『フライの雑誌』の89号では、予定通り島崎憲司郎氏の「クロスオーストリッチ」を、巻頭とセンターカラーにもってきた。
編集部はこのクロスオーストリッチに〈新しいスタンダード・フライの可能性〉というタイトルを打ったのだが、それは正しかったようだ。というのはこの89号への現時点での反響がものすごく多い。どのくらい多いかというと100倍くらい。(当社比)
記事中にも登場してもらったサンスイの平野氏が勤めるサンスイ池袋店では、反響を見越して仕込んでおいた大量のオーストリッチが、あっというまに売り切れ状態だとか。(さすが商売上手)
めざといフライマンの間ではすでに上質なオーストリッチの争奪戦が始まっているとの情報も編集部に入ってきている。クロスオーストリッチはまさに時代を開拓する新しいスタンダード・パターンの道を歩み始めているようだ。なぜこのフライが生まれたかにもちゃんと理由がある。ご興味ある方は『フライの雑誌』88号の「シマザキ・ワールド12」を。
89号でも解説したし巻いてみれば分かるが、クロスオーストリッチは誰にでも巻ける。これが巻けなければフライタイイングを諦めたほうがいいくらい。そして使ってみれば分かるが、クロスオーストリッチはものすごくよく釣れる。
平野氏の情報によると、最近流行の〝エリアフィッシング〟での新手、奥の手でクロスオーストリッチを使いたいと考えている釣り人が多いらしい。〝エリアフィッシング〟って日本語ワカラン、管釣りでいいじゃんと個人的には強く思うが、それとは関係なく、じっさい管釣りでクロスオーストリッチを使うとたいへん効果がある。つい先日も私は蔵王フォレストスプリングスでクロスオーストリッチだけでたんまりと入れ食いしてキタ。実は今でも腕が痛い。
簡単に巻けてよく釣れて、あくまでも「フライっぽい」ところが、クロスオーストリッチを〈新しいスタンダード・フライ〉と呼びたくなる理由だ。フライフィッシングの伝統と枠組みから一歩も外れていない。靴紐をフックに結んでひらいてなんて、いくら釣れても私には恥ずかしくてできない。個人の感じ方ですから念のため。
「クロスオーストリッチ」は現代フライフィッシングの世界にオリジナルでイノベイティブな仕事を構築してきたシマザキ・ワールドの最新作である。最高傑作のひとつになるかもしれない。せっかくのフライフィッシングを背筋をまっすぐに伸ばして愉しむための、21世紀の新しいスタンダード・フライだ。