新刊『桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!』発行直前情報(その3)

いつから「サクラマス」と呼ばれるようになったのか

学名がどうの種名がどうのという以前に、サクラマスという標準和名がいつ頃、誰によって使われだしたかをまず見てみよう。

1000年以上昔の延喜式(平安時代中期に編纂された律令細則)に、〝腹赤魚〟とあるのがサクラマスと考えられる。筑後と肥後から献ぜられたとあるので、今ヤマメのいる川に当時はサクラマスが遡上していたのかもしれない。その後、ずっと「鱒」と呼ばれていた。

サクラマスの名の由来を、真山紘さん(元さけ・ます資源管理センター調査研究課長)に教えていただいた。以下に整理する。

サクラマスという名称が学術論文に登場するのは、大島正満の、〝ヤマメ・アマゴの系統と生活史に関する二、三の知見〟(1929/自然科学第4巻1号)で、和名として「マス」と「サクラマス」が連記されている。そこでは〝産卵期には美しい虹色をおびるようになる。サクラマスという名は桜が咲くころに漁獲されるから名付けられたといわれているが、産卵期の体色がその名の由来であると考えられる。〟としている。・・・

(本文第1章「美しき頑固もの、サクラマス」より抜粋)

編集部より※サクラマスに関してこういうことは今まで書かれたことがありませんでした。必読の一冊です。

「桜鱒の棲む川 ─サクラマスよ、故郷の川をのぼれ!」 4/25発行