新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』は6月中旬に配本です。

●さっき若い佐川男子が仕事場へamazon本を届けてくれた。太陽くんみたいな茶髪&爽やか系だった。ここらじゃあまり見ない美形だ。でもいつもの汗っかきの新ジャガみたいなヤマト男子の方が性格よいのだろうな。30代の始めに新宿二丁目で4年暮らしていたおれの直感だ。だからなに。

●葛西善蔵は釣り好きだったのではないか。代表作『湖畔手記』には、湯の湖へ〝鱒釣りに出かけて〟とサラリと書いてある。湯の湖に長逗留した本当の目的は、小説を書くのではなく、釣りだったんじゃないだろうか。〝作〟ができなかったのは、机に向かわないで、釣りばかりしていたせいじゃないだろうか。

どうもあの時代に、自前の釣り竿をわざわざ東京から湯の湖へ持ち込んだ形跡がある。ほかの作品にも釣りがひそかに出てくる。津軽出身で北海道暮らしの時代もあったし、透明感のある独特の自然描写をも考え合わせるに、きっと生まれながらの釣り師だったに違いない。

コンプレックスのかたまりで好色で金銭感覚ゼロの、肺病病みで酔っぱらいの釣り師。なんていいやつなんだろう。と勝手に想像。

ここらへんまで思いやって、また『文豪たちの釣旅』を読み返したくなった。

●新刊『葛西善蔵と釣りがしたい』の最終ゲラチェック中。自分で書いたものを版元の自分がチェックするなんて、考えてみれば破廉恥きわまりない。

「これはおもしろいぞ。いい本だぞ。」と満面の笑みになった4秒後に、「果たしてこの本を出版する意味があるんだろうか…。」と頭を抱える。その繰り返し。

〝意味〟なんて考え出したら、世の中なんにもできない。そんなことは分かりきってることです。絞るものを絞り尽くします。でもやっぱりおなかイタイかも。

現場はこういう情況ですが、ご予約を予想よりずっとたくさんいただいています。6月中旬に配本予定です。

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