日野市生物多様性戦略部会の〈やるべき事〉とは何か

日野市生物多様性戦略部会、市民参画部会ワークショップで語られている〈やるべき事〉が色々すごい。

外来種を悪者に仕立て上げる。アライグマ等

学校でウサギを飼育して、野生に帰して猛禽類の餌にする

>やるべき事(PDF)

日野市が生物多様性を語るなら、京浜河川事務所が多摩川で今まさに現在進行形で進めている、「礫河原の復活」と称した大規模自然破壊へ、緊急に立ち向かわないと意味がない。

なにより身内の戦略部会委員さんが問題にしているくらい。

京浜河川事務所による「礫河原の復活」名目での大規模自然破壊については、『フライの雑誌』第102号(2014年7月)でも記事にした。

以下に再掲する。

ウナギが絶滅しそうだから稚魚を獲るなと

●編集部の地元、多摩川支流浅川の河川工事のあまりの酷さについて、京浜河川事務所の鶴見本所へ写真付きで抗議の手紙を送った。すると工事担当者が編集部へ電話をくださった。

●ここ1、2年に浅川上中流域と多摩川多摩大橋近辺で行われている河川工事について30分ほど会話をした。つとめて冷静に、論理的に、そして情緒的に、流域住民の川への思いを伝えた。多摩川多摩大橋あたりの河川敷も、今回の工事でひどいことになった。そのことを言うと、「あの辺りは40年間触ってなかった」。「今回の工事で昔の資料にある礫河原の復活を目指した」と言う。

●礫河原だか何だか知らないが、多摩川河川敷の雑木林はタヌキやキジが子育てをして、流域の住民に長年親しまれていた身近な自然だった。そこを我が物顔にブルドーザーが走り回った後に現れたのは無味乾燥な埃まみれのグラウンドだ。植物も昆虫も魚も動物も、三世代に渡って重ねてきた40年間のヒトの歴史もあっさり踏みつぶされた。わたしが『葛西善蔵と釣りがしたい』に書いた隠れ里の池も潰された。腕を足をもがれた気分だ。

●基本的に人間は馬鹿なことしかしない。

ひとりが抗議したところで重機はすぐに止まらない。でもしつこく騒げば草花一本くらいは避けて通ってくれるかもしれない。何もしないよりましかも知れないなら、何かしたほうがいい。京浜河川事務所さんだって、多くの市民からバカと言われたり、蔑まれたり、税金返せと罵られたくて仕事しているわけではないだろう。不満や意見は電話一本で伝えられます。あなたも。

●浅川にも数十年前まではウナギが遡上していた。そのウナギが絶滅しそうだから稚魚を獲るなと騒いでいる。海と川を行ったり来たりしたいウナギが、ダムと堰と護岸だらけの河川環境で、再生産を続けてこられたのがキセキだ。川をこんなにしておいてウナギに帰ってきてほしいなんて言えない。河川行政が変わらなければ、稚魚獲らなくたって川からいずれ消えるのはウナギだけじゃない。人間だって。

『フライの雑誌』第102号(2014年7月) 128ページ

行政が生物多様性を語ると、どうも本質からずれる傾向がある。都合のわるいことはスルーして、楽そうなほう、分かりやすいほうへと、にじりよる。

日野市生物多様性戦略部会の〈やるべき事〉は明白だ。外来種を悪者に仕立て上げている場合ではない。

生態系保持空間の生きものと自然再生工事について(講師:部会委員 森川 正昭氏)資料
フライの雑誌-第102号