県境の山上湖へ一泊キャンプで出かけた。暑さ寒さも彼岸までと言うが、受付時にキャンプ場の管理人さん曰く「昨夜は4度まで下がりました」とのこと。さすが標高1500メートルオーバーである。フランス外人部隊のようにテキパキとテントを設営して、さっそく湖畔へ向かった。
釣りはよかった。これまでこの湖に何回も来たことがあるなかで、もっとも数は釣った。ほとんどドライフライ。同行の友人とは10年前の春の芦ノ湖で世紀の大爆釣をしたことがある。以来ひたすら恵まれない釣りをくり返してきたのだが、今回は匹数だけで言えば10年ぶりの幸運に恵まれた。
先ほどから「数は」とか「匹数だけは」とか、言い訳がましいことを言っているのは、魚の型がよくなかったからだ。釣れたのは塩焼きサイズにも満たない甘露煮サイズばかりだったが、友人は一匹をキープしてむりやりコッフェルで焼いて食べた。キャンプではやはり釣った魚を食べないとストーリーが完結しない。
食事を終えたら冷たい霧雨が降ってきたので、テントへ潜りこんだ。時計を見るとまだ7時前じゃないか。二人の40男は寝袋にすっぽり入って蓑虫みたいに横並びになり、あれやこれやなんだかんだと夜が更けるまで語り合った。もちろん始めに「こわい話はやめようね」と約束するのは忘れなかった。
明日も釣りだ。フライマンでよかった。