朝日のあたるハヤ

東京ドーム20個分のバクダンを積める超弩級爆撃機が、はるか地平線の彼方にぽつんと姿を現した。と思うと、まっすぐわたし目がけて低空飛行してくる。見る見るうちにどんどん迫ってくる。

そんな浅い夢で目が覚めた。

最新号が出てから一ヶ月たっている。

「またいつものやつですね。もうそろそろ飛んでくる頃だと思っていましたよ」

わたしはよたよたと川へ逃げ出した。

東京ドーム20個分の超弩級大型爆撃機が、地平線の向こうにぽつんと姿を現した。と思うとまっすぐわたし目がけて超低空飛行してくる。そんな浅い夢で目が覚めた。最新号が出てから一ヶ月たったから、そろそろ飛んでくる頃だと思ってた。「またいつものやつだよー」。わたしはよたよたと川へ逃げ出した。
爆撃機はいなくなったが、朝日が追いかけてきた。

この季節は夕方もいいが朝もいい。
この季節は夕方もいいが朝もいい。ドライフライへ、ヘッド&テールでライズしてくる。白銀に輝く小さな宝石が水面にいくつも舞った。そしてわたしと細い糸でつながった。

朝日のあたるハヤ。これが言いたかったんです。ごめんなさい。
〝朝日のあたるハヤ〟というフレーズを思いついた。

朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ|真柄慎一(著) カバーイラスト:いましろたかし|紀伊國屋書店「書評空間」選定 毎日新聞・書評欄「今週の本棚」 読売新聞・書評欄「本よみうり堂」 「本の雑誌」2014年6月号掲載
朝日のあたる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ|真柄慎一(著) カバーイラスト:いましろたかし|紀伊國屋書店「書評空間」選定 毎日新聞・書評欄「今週の本棚」 読売新聞・書評欄「本よみうり堂」 「本の雑誌」2014年6月号掲載