今年の第12回大藪春彦賞を『約束の地』で受賞した樋口明雄さんの新刊が、年内になんと4冊、集中的に発行されます。フライマン的に表現すれば樋口明雄がスーパーハッチです。各版元の気合いの入れっぷりが伺えます。
で、その4冊のなかに、フライの雑誌社も入っているという意外な事実。なんかメジャー。しかもなんと、樋口さんの作家生活20年にして初めてのエッセイ集です。
いまamazonで樋口明雄を検索すると、こんな感じになっています。どの本もずっしりとした装丁です。樋口さんが希代の本格冒険小説作家と呼ばれるのがよく分かります。
このハードボイルドなラインナップのなかに、タイトル聞いただけで脱力する、フライの雑誌社の『目の前にシカの鼻息』がもうすぐ加わるのかと思うと、ほんとにいいのかなと不安。作家がいいっていってるからいいんでしょう。
先日再発したばかりの『頭弾』や『光の山脈』といった樋口作品が好きな方なら、今度の『目の前にシカの鼻息』は意外に思えるかもしれません。
ただ、樋口さんに5年前からおつき合いいただいて、一緒にフライロッドを振ってもいる個人的な印象からすると、その人物像の実態はどちらかというと、〝シカっぽい〟感じです。「ひぐちあきお」というかな表記が似合います。
以前、私が「樋口さんはナイスガイだから。」とからかったことがあります。すると「やめてよ、◯◯の編集さんにも〝ナイスガイですよね〟って、言われたんだ。」と本人はなぜか必要以上に照れてました。
そういう感じの大藪賞作家・樋口明雄が新境地をひらいた、初めてのエッセイ集『目の前にシカの鼻息』は12月20日発売です。どうぞお楽しみに。