歌舞伎町と吉原特集

所用で赤坂へ。弁慶堀でバス釣りをしているグループあり。フライフィッシングの人を一人発見。四谷から新宿へ移動。マルイシティの真新しいガラス張りのビルに人が群がっている。友人と模索舎へ寄った後、新宿2丁目でお茶。アクタス対面にあった古い雑居ビルがビルごとなくなっていた。かつてこのビルの1階には、値段は高いし個性はないし無愛想だし汚いし、客が入らない要素を複合的に兼ね備えた居酒屋が入っていた。まったく好きではなかった店だったが、荒涼とした更地を前にするとどうにもならない空虚感が寒々と迫ってくる。新宿は2001年、44人が死んだ歌舞伎町のビル火災があった頃から、街のデザインが根本から変わってきたと思う。ぼくはあの夜、この世の終わりみたいなサイレンの渦を2丁目のマンションの一室で聞いていた。その10日後にはNYの9.11である。あれから丸5年、2丁目住人の自殺や夜逃げではそれまで以上に驚かなくなったし、歌舞伎町には顔色の悪いホストと風俗案内所が激増し、ゴールデン街は下北みたいになった。というわけで雑誌『東京人』の今月号「吉原特集」は面白かった。紙媒体ならではのいい仕事だと思う。大切に本棚へ立てた。