水口憲哉氏(東京海洋大学名誉教授)が満を持してお送りする〝あたらしいサクラマス本〟のタイトルが、ついに決まった。
この本の出版までには、じつは著者と編集者との間に、水面下で練りに練り込まれてきた数年間がある。その経緯はとても表には出せない。著者の仕事(あるいは生き様)と編集者の夢(あるいはあざとさ)とが、ときにはげしく衝突することもあった。正直、危険水域を越えて枕を濡らした夜もある。
しかし、社会に熱い想いを届けたいという共通の軸は、どんな時でも1ミリたりとも揺らぐことはなかった。深くて長くてひたすら前向きな背景がたっぷりとこもっている、フライの雑誌社ならではの執念の一冊だ。
いま私の机の上に、その〝あたらしいサクラマス本〟の原稿の束がある。良い本を早くたくさん出したいのが基本的な習性の編集者としては、やっと、やっとここまでたどり着いたかと感慨深い。14万8千光年の旅の末に「地球か・・・。何もかも皆なつかしい。」と言って力尽きた沖田艦長の姿に、今のフライの雑誌社と自分の行く末が重なって見える。涙の向こうで森雪が微笑んでいるよ。艦長。古代クン。
さて、〝あたらしいサクラマス本〟は『フライの雑誌』誌上での「サクラマスはどうすれば増えるのか」5年の問題連載をふまえ、さらに、おどろくほどのボリュームを単行本オリジナルで書き下ろしている。連載を根本からブラッシュアップしてまったく違う作品になっている。「『フライの雑誌』で読んでいるから単行本はまあいいか。」というお考えはおすすめしません。
釣り人にはなじみの深いサクラマスだが、サクラマスを単独で取り扱った一般向けの単行本は、これまでに一冊も世の中に出ていない。つまりこれは〝世界で初めてのサクラマス本〟ということになる。そのことがサクラマスと世間との距離を見事に言い当てていると思う。この本を世に出す意味はそこにある。
水口憲哉氏〝あたらしいサクラマス本〟改め、〝世界で初めてのサクラマス本〟の表題は、『フライの雑誌』次号第87号で大々的に発表します。
いまだに(!?)87号の原稿を送って来ていないライターさんは早く原稿を出していただけますか。