水産庁が人工産卵場/人工産卵床造成に関する資料を公開

水産庁のウェブサイトで、内水面の魚の人工産卵場/人工産卵床造成に関する資料が公開されている。

『フライの雑誌』連載をもとにまとめた中村智幸さんの単行本『イワナをもっと増やしたい!』(2008年)の発行以降、全国で渓流魚の人工産卵場作りがひとつのブームのようになっていることは、これまで何回か本誌および本欄で紹介してきた

今回の資料は、ここ3年間ほどの水産庁事業のまとめだ。内水面の魚類増殖に関する具体的な提言、提案が記されている。身近な川や湖に魚を増やしたいと願う釣り人、漁協、住民団体、教育機関の参考資料として有用なものだ。ご興味のある方はぜひご一読をおすすめする。

これまで水産庁はせっかくこのような貴重な資料を作成しても、その公開へ積極的だったとは言えなかった。編集部が水産庁漁業調整課沿岸・遊漁室の釣人専門官氏へ取材したところ、2012年末からウェブ上でのPDF公開を進めているとのこと。たいへんに素晴らしいことだと思う。

下記の内、「渓流魚の増やし方」のパンフレットの内容は、当初『フライの雑誌』第96号へ掲載しようとして編集部がメイン執筆者の中村智幸さんへ取材したものの、次期尚早で掲載を見送った記事に関連する。

『フライの雑誌』第96号を読んでくださった方は、特集2◎釣り人のサイエンスでの、奥歯に物の挟まったような編集部のリード文を覚えてくださっている方もいるかもしれない。そう、〝これまでの渓流魚の増殖方法の常識が、ひっくり返されてしまうかもしれない〟と書いたアレだ。丸一年がたって、ようやく公開される運びになったということです。

時は来た

編集部では釣人専門官氏に頼んで、さっそく「渓流魚の増やし方」のパンフレットの実物を送っていただいた。「放流と自然繁殖を上手に使いこなす」という副題通り、これまでの放流に頼った魚の増殖(それ自体がおかしいことだが)の効果を再検証し、もっと効果的に、安価に渓流魚を増やす方法を提案している。とてもわかりやすい。

これまで水産庁が作成してきた、渓流魚の増殖パンフレットシリーズトラウト・フォーラムのウェブサイトで公開中。こちらもまとめて水産庁ウェブサイトで公開するべきだ)、『イワナをもっと増やしたい!』と併せ読むと、さらに理解が深まるはずだ。

編集部では中村智幸氏に近く取材させていただく約束をいただいた。さらに掘り下げた分かりやすい解説を、『フライの雑誌』誌上で紹介する予定です。

・アユの人工産卵床のつくり方(PDF:663KB)
・ウグイの人工産卵床のつくり方(PDF:667KB)
・オイカワの人工産卵床のつくり方(PDF:585KB)
・カジカの人工産卵床のつくり方(PDF:422KB)
・コイ・フナの人工産卵床のつくり方(PDF:657KB)
・渓流魚の人工産卵場のつくり方(PDF:774KB)
・渓流魚、アユ、コイ・フナ、ウグイ、オイカワの人工産卵床の増殖指針(PDF:725KB)
・田んぼを使って川や湖の魚を増やそう!(PDF:890KB)
・渓流魚の増やし方(PDF:2,861KB)
・カジカの天然魚の守り方・増やし方(PDF:2,701KB)

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