猿を選ぼう。

中央環境審議会(環境相の諮問機関)は19日、放射性物質による環境汚染を対象外としている大気汚染防止法などの規定について、削除を検討すべきだとする提言をまとめた。 日経 11/19

ちょっと分かりづらいので床屋政談な素人解説を。

信じられないことですが、環境汚染を規制する環境基本法にはこれまで、放射性物質の扱いは「原子力基本法その他の関係法律で定める」という除外規定がありました。原発は絶対に事故を起こさないから放射能汚染も起きない、だから法律も必要ないという理屈でした。

本サイトで全文公開しているインタビュー〝放射能を海に棄てないでください〟の中で、水口憲哉氏が「放射能は一番危険な環境問題のはずなのですが、環境省は扱えません。」と批判しているのはそういうことです。

今年6月に環境基本法が改正されて、放射性物質の除外規定が削除されました。何をいまさら感がぬぐえませんが、まだましになった出発点に立ったと言えます。放射性物質は公害物質であり放射能汚染は最悪の環境汚染である。その当然の認識をふまえて、具体的に動き出した一端を伝えているのが上の報道です。そのわりには新聞ではベタ記事扱いですが。

環境省は、大気汚染防止法、水質汚濁防止法、海洋汚染防止法、環境影響評価法で、放射能汚染を扱えるようになる改正案を、来年の通常国会に提出予定とのことです。環境影響評価法とは、環境アセスメントの元になる法律です。今まで環境アセス的に、原発=核施設は完全スルーでした。これからは勝手放題にはいかないよ、に期待です。

ただしかし、今度の選挙で、自民党や慎太郎や大阪の茶坊主がまかり間違って政権を獲ったとします。すると当たり前ですが、原発推進のじゃまになる法規制は強化したくない。せっかくのスタートラインは事実上またおシャカにされるでしょう。

これだけの壊滅事故を起こして、何十万人という無辜の人々を住んでいる土地から追い出して、いまだ事故収束の見込みも立っていないのに、なお原発推進を公約に掲げる政治家は猿以下です。むしろ引き合いに出された猿に失礼かと。

日本のきれいな山と川と、きれいな海を残したい私は、選挙に行きます。

ざっと見わたしてもろくな猿がいないのは承知の上で、まだましな猿を選びます。

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選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる
『淡水魚の放射能  川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』
水口憲哉(国会事故調査委員会参考人/東京海洋大学名誉教授)書き下ろし
Amazon同時第1位(10/13)環境・エコロジー部門/地球科学・エコロジー部門

『淡水魚の放射能』水口憲哉|2012.9月発行