絶倫カブトムシ

山梨県・桂川尺ヤマメのヘンタイ座談会で『フライの雑誌』85号にも登場してくださっているヘンタイ桂師(桂川に身も心も吸い尽くされてしまった人のこと)マツイさんは、上州屋八王子店(中央道八王子インターすぐ)に勤務されている。彼はヤマメも釣るがカブトムシも捕る男で、その彼が「ここは絶対です。間違いないです」とすすめてくれた近郊のホットスポットに、カブトムシを捕りに出かけた。『フライの雑誌』の第68号(売り切れ)で〝自分の鱒は自分で探せ〟などとエラそうなタイトルの特集をぶちあげた身としては、正直ちょこっとだけ忸怩たる思いはある。めんぼくないです。

八王子店を出て勢い込んでその場所へ出かけたら、真っ昼間だというのに、いた。ものすごく立派なアカカブトだ。角なんかぬらぬらして反り返っちゃってる。すぐ近くにはやはり巨大なメスもいて、さすがヤマメも釣るがカブトも捕る男の情報は鉄板だった。いずれ森に帰すつもりでカップルごとしばらくうちの昆虫ケースに来てもらうことにした。見ればそこらじゅうにまだまだたくさん大物がいて、数匹をキャッチ・アンド・リリースした。

で、持ち帰ってケースに入れ、落ち着かせるために新聞紙をかけ、5分くらいしてそうっと覗いたら2匹ともエサ皿に身体ごと突っ込んでモリモリ食事をしていた。クヌギの木から引きはがされて車で拉致され、狭いケースに入れられてこの先どういう運命が我が身を待っているかも分からないというのにたいした食欲だ。

さらに5分くらいしてまたそうっと覗いたら、なんと交尾してやがる! ゴリゴリガチャガチャと音を立てて肉食獣のように情欲を交わしていた。思わず目を背けたくなるようなインパクトだ。ちなみに後背位だった。あたりまえだ正常位だったらなんか困る。

拉致下という極限状況で、2匹のカブトムシにポールとミシェル的な劣情が発動したのかどうか知らないが、あまりの適応というか早業におどろいた。

昨日成虫になったばかりですぐにおっ始めた若い2匹もすごかったが、カブトムシって日々そういうことしか考えてないんだろうか。ていうか、なにか考えてるのか。