茨城県坂東市にある〈ミュージアムパーク 茨城県立茨城自然博物館〉は、毎回ユニークな企画展で人気を集めている公立博物館である。子どもがヒマになる毎年の夏休み期間中は、とりわけチカラの入った特別企画をぶつけてくる。
2011年夏の企画は、ムシだった。〈昆虫大冒険 タケルとケイの不思議な旅〉。同企画展では、島崎憲司郎さんが企画展にあわせて特別にタイイングしたシマザキフライズと、島崎さんの著書『水生昆虫アルバム』を同時に解説する特設コーナーがつくられた。『フライの雑誌』第94号で紹介した。国内の公共の博物館でこういう形で著書とフライが展示されたタイヤーは初めてだろう。胸がすくような企画だった。
2012年夏の企画は、軟体動物だった。「不思議いっぱい!貝たちの世界-蝸牛から烏賊・蛸まで-」。こういった軟体系の生き物には地球外生命体の香りがする。まじめにイカとかタコとかって、宇宙の彼方の遊星Xからやって来たスパイかテロリストだと思う。生きている彼らをまな板の上に置くとよく分かる。
今春放送のダイオウイカ特集の反響に味をしめたNHKが、この夏はなんとダイオウイカ映画を公開するらしい。いいかげんにしておけ公共放送と言いたい。観たいけど。いま思うと去年の茨城のこの企画も、軟体系シンクロニシティの一環であったのだ。やっぱりあいつら地球に侵略してこようとしているんだなきっと。
さて、茨城自然博物館2013年夏の企画は、淡水魚だ。タイトルは「ぎょ・魚・漁 〜淡水魚の知られざる生態を追って〜」。
水に恵まれた日本には,身近な川や池,湖などに約300種の淡水魚が生息しています。私たち日本人は,これらの淡水魚を漁業資源としてだけでなく,遊漁や鑑賞など日常生活のさまざまな場面で利用し,その恵みを享受してきました。しかしながら,生活が便利になるにつれて,護岸工事や生活排水の流入,外来魚の放流などによって淡水魚の生息環境も大きく変化してきました。
本企画展では,日本人とのかかわりが深いコイやアユ,ウナギ,サケなどの淡水魚の不思議な生態や人とのかかわりを紹介します。展示を通して水辺の自然のすばらしさとともに地域に伝わる伝統や文化なども再発見していただければ幸いです。そして,絶滅の危機にさらされている淡水魚やそれらを保護する人たちの活動から淡水魚の未来をともに考えていきませんか。
展示内容に連動した期間限定のイベントも盛りだくさんだ。釣り人的には感じるスポットをちょっぴりダイレクトに攻められている気分な、2013年の茨城自然博物館の夏休みである。