おかげさまで『フライの雑誌』の最新第102号はいつも以上の(当社比)売れ行きです。今号の進行では、事前に発表した発行日を諸般の事情により一ヶ月も遅らせるという、出版社がふつうやってはいけないことをやっています。
1971年、漫画家の安部慎一氏は、「ガロ」へ寄稿した自作が〝白土三平のかってなページ変更によって〟予定号の誌面から降ろされたことで、版元の青林堂へ絶交を宣言しました。手書きの「絶交のお知らせ」を公開して新たな掲載誌を募集したのだそうです(阿佐ヶ谷マンガクロニクル2014より)。
現代でいえば、作者みずからTwitterで内情暴露、拡散希望、RT! RT! といったところでしょう。
『フライの雑誌』の場合は似たような事態が起きれば、ページ数を増やし発行日を遅らせます。今回もその選択をとりつつも、皆さまからのご批判を心配していました。しかし発行日が遅れたことへのお叱りの声は、なんとひとつもいただいていません。これも創刊27年で積み重ねてきた歴史と、あらめて赤面しています。
つまらない前置きが長くなりました。
『フライの雑誌』最新第102号の発行日が遅れた諸般の事情のうちのひとつ、というか大きな原因が、第102号第1特集である島崎憲司郎さんの〈シマザキ・ワールド14 Shimazaki World 14 ─Shimazaki Flies 2014 Selection〉です。はい、皆さまご明察の通りです。
第102号の売れ行きがいい理由のひとつに、本特集〈Shimazaki Flies 2014 Selection〉の多大なインパクトがあります。発行日くらい遅らせても、とにかく現時点での最新シマザキフライを第102号の誌面へ載せるのが編集部の仕事と思って大正解でした。
島崎憲司郎さんの仕事はつねに進化しています。かつ進化の方向性がひとつではありません。記事にするために、現在進行中のあれやこれやをどこのタイミングで切り取ればいいのか、毎回大いに悩むところです。
第102号には編集部からのこんなご案内を掲載しています。
島崎憲司郎氏畢竟のタイイング本、新刊単行本『シマザキ・フライズ Shimazaki Flies』企画がいよいよスタートしました。今号はその助走であり、とっかかりのプロローグです。お見逃しなく。前号第101号でお約束したタイイングの解説等で今号に入らなかったものは、単行本『Shimazaki Flies』の方で様々な応用例を含めたより詳しい形でまとめることになりました。判型も本誌よりずっと大きいので、より解りやすいはずです。
この『シマザキ・フライズ Shimazaki Flies』の発行日への問い合せを、すでに何件もいただいています。企画はちょうどスタートしたところです。昨日(8/23)も、桐生の島崎憲司郎さんと電話で長い打ち合わせをさせていただきました。発行の日取りはともかく、内容は確実に前進しています。ご安心ください。
近刊『シマザキ・フライズ Shimazaki Flies』については、本サイト上へ進捗情報をご案内します。今後の『フライの雑誌』誌上では、最新のシマザキ・フライの写真と共に、さらにくわしくご報告していきます。
未発表のシマザキフライ〈Faether Body Wasp / TMC5262#6(tied by Kenshiro Shimazaki)〉を公開しました。