釣りに国境はない。「Bamboo Rod Journal」と「水生昆虫アルバム」

 1998年に私たち夫婦を日本に招待してくれたのは野々垣ご夫妻で、水戸に滞在しました。そして既に私のロッドのクライエントであった島崎憲司郎さん、彼はTIMECOのフックデザイナーで、“A FlyFishers View”という画期的な本の作者であり、発明に富むフライタイヤーで、フラメンコ奏者・・・から招待を受けていました。
 島崎さんは、その晩フライの雑誌社の中沢編集長(当時)さんと、日本の伝統的な鮎竿の作り手である中村羽舟さんを招いてくれていました。鮎釣りには乾燥した竹で3.6~5.4メートルの竿を使用します。島崎さんは7.6ftのバンブーロッドを部屋から持ってきて私に見せました。
「ビヤーネどう思う?」。
 それは中村羽舟さんが作ったロッドでした。島崎さんが私が製作したロッドを羽舟さんに何本か見せたらしく、中村さんは自分でもフライロッドを作ってみたいと思ったそうです。私は中村さんの作品に強い衝撃を受けました。… (The F.I.B.H ferrule By Bjarne Fries Bamboo Rod Journal 抄訳:永野竜樹)

『フライの雑誌』に「Radical Bamboo Rod Builders ラジカル・バンブーロッド・ビルダーズ」を連載中の永野竜樹さんからのお知らせです。永野さんによるとヨーロッパ大陸はいまたいへんなバンブーロッド・ブームのさなかにあるとのこと。

IBRA(ITALIAN BAMBOO ROD ASSOCIATION/イタリアバンブーロッド協会)のウェブマガジン「Bamboo Rod Journal」最新号は、デンマークのビヤーネ・フリース氏による、竹フェルールについてのストーリーを掲載しています。バンブーロッドの竹フェルールのオリジナルアイデアは本誌読者にはおなじみ島崎憲司郎さん。その朋友中村羽舟さんの作品からもらった六角竹フェルールのインスピレーションについて語られています。

島崎さんの古典的名著『水生昆虫アルバム』をビヤーネ氏が「a fantastic innovative book」と紹介しているのは、納得の表現です。

島崎さんの近況については、ご本人が筆を縦横無尽にふるった『フライの雑誌』最新第98号「シマザキ・ワールド13」でどうぞ。98号は文字通りの大絶賛発売中です。

ちなみに下画像は、同じく「Bamboo Rod Journal」への、カナダのボブ・クレイ氏からの寄稿です。バンブー・スペイロッドの王様と呼ばれるボブ・クレイ氏については、『フライの雑誌』第97号の「Radical Bamboo Rod Builders」でくわしく紹介しています。

たいへんお待たせしているフライの雑誌社の新しい単行本『バンブーロッド教書』は、永野さんが鋭意翻訳中です。『フライの雑誌』次号第99号で、突っ込んだご案内ができる予定です。どうぞお楽しみに。

魚や釣りや道具を語ってボーダーレスにわいわい仲良く楽しみたいですね。フライの雑誌社の出版物がその一助となれば幸せです。釣りに、フライフィッシングに国境はありません。そんなあたりまえのことにあらためて喜びを感じる2013年の始まりです。

第98号「シマザキ・ワールド13」