阿佐ヶ谷、中野、阿佐ヶ谷

午前中は『フライの雑誌』次号第84号発送の準備。何から何まで自分でやるのが創刊以来の我が社の伝統、っていうか、相変わらずそうせざるをえないっていうか。でもそういうこまごまとした事務をこなしているうちに、終えたばかりの編集仕事の達成感がじわじわと脳髄にしみでてくるのが麻薬みたいでやめられない。

午後から阿佐ヶ谷へ、ふるい友人と連れ立って映画「ヒミコさん」。受付できれいな女の人がチョコをにこやかに配っていた。「バレンタインなんで」。「あ、どうも」と言ってもらう。

映画「ヒミコさん」はひじょうに難解。歌舞伎座のようなイヤホンガイドが欲しい。20年前にぼくらの仲間が手伝った「天国平和ラッパ」(1990)と藤原監督の作風がなんら変わらなかったことには悶絶した。

映画終了後、「今日はヒミコさん役の宮川ひろみさんがいらしてます」と会場の人が紹介し、受付にいたチョコの女の人が舞台に出てきた。ついさっきスクリーンのなかで、荒縄に縛られて悶えていたその人だと、そのときになって初めて気づいた。「受付にパンフレットがあります。それを読めば<ヒミコさん>が分かると思います。」と、当のヒミコさんが微妙に吹きながら言うので、迷わずパンフレットを購入した。しかし読んでも正直あんまり分からなかった。

そのまま友人らと阿佐ヶ谷「吐夢」へ。<ヒミコさん>について少し話したあと私だけ『フライの雑誌』寄稿者Mくんの結婚パーティのため中野へ移動。Mくんの奥様からバレンタインをもらう。若い二人の明日がまぶしい。

0時近くなって阿佐ヶ谷に戻り、試しに友人らに電話してみた。「まだ飲んでるよ。」とのこと。なんて長っ尻なんだ。再合流して「暖流」へ。少し飲んで清算をお願いすると、「あらもうお帰りなの。じゃあ、はい。」と、チョコをもらってしまった。

ヒミコさんからチョコ。若い二人は新生活。で、まさかの「暖流」でチョコ。世の中いろいろだな。