新刊単行本『文豪たちの釣旅』大岡玲:著(2012年6月10日発行)

こんな時代にゃ、釣りが必要だ。

芥川賞作家 大岡玲が案内する
日本の文豪14人が描いた釣りと旅とその作品世界

大岡玲さんは作品のなかでしばしば釣りへのふかい愛情を語っています。『文豪たちの釣旅』では日本の文豪14人の味わいぶかい作品世界をご紹介しながら、みずから釣竿を手に作品の舞台を巡ります。文豪たちとの楽しい旅路のなかに、ふと一抹の切なさが顔をのぞかせます。そんなとき釣りに心ひかれた文豪たちの後ろ姿が見えてきます。

芥川賞作家 大岡玲が現代社会へ満腔の思いを込めてお届けする、釣りと旅と人生の趣がつまった一冊です。どうぞ存分にお楽しみください。

この本に登場する文豪たち
開高健   幸田露伴   井伏鱒二   坂口安吾   戸川幸夫
岡倉天心  福田蘭童   山本周五郎  佐々木栄松  中村星湖
立原正秋  尾崎一雄   森下雨村   池波正太郎

(あとがきから)

 ・・・2011・3・11の大震災、とりわけ福島第一原発の事故によって、私たちが住むこの国は、すべてにおいて、これまでとはまったく異なる状況に足を踏み入れることになってしまった。本書は、釣りというごく他愛ない娯楽について書かれたものではあるが、しかし、「朝露の一滴にも天と地が映っている」とも言う。お手にとってくださった方に、そんな一滴が届けば、と願っている。

                           大岡 玲

タイトル:
文豪たちの釣旅 
2012年6月10日発行【決定】
新書判単行本 288頁(ページ数が増えました)/ 定価1,200円(税込)
ISBN 978-4-939003-50-9

目次:

開高健    六十五センチの幻
幸田露伴   なんちゃって文豪、鱸釣りに行くの記
井伏鱒二   山椒魚の憂鬱
坂口安吾   釣り師という人種
戸川幸夫   自然は平等である
岡倉天心   夢を釣る詩魂
福田蘭童   乾いた不思議な笛の音が…
山本周五郎 「ぶっくれ」で「ごったく」で、でも、いとおしいこの世界
佐々木栄松  カムイの輝く光を浴びて
中村星湖   釣りは性欲の変形?
立原正秋   釣りで人は救われるか?
尾崎一雄   大きいことはいいことだ?
森下雨村   ありがタイのかフクの神
池波正太郎  水郷・江戸の面影はいずこに
余は如何にして釣人となりし乎
あとがき

著者略歴
大岡 玲 (おおおか・あきら)
1958年、東京都生まれ。東京外国語大学外国学部イタリア語学科卒業。同大学大学院外国語研究科科ロマンス系言語学修士課程修了。87年「緑なす眠りの丘で」で作家デビュー。89年に『黄昏のストーム・シーディング』で三島由紀夫賞を受賞。90年「表層生活」で第102回芥川賞を受賞。小説以外に書評、美術批評、映画批評、グルメ、釣りエッセイ、イタリア語翻訳などを手がけている。最近刊に『本に訊け!』(光文社)。2006年より東京経済大学教授。

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