「ほとりの小川で探せる絶滅危惧種」? 探せませんって。

今月、河口湖の畔に大型のショッピングモールが新規オープンした。

つい三ヶ月ほど前まで、砂利引きの駐車場だったり、畑だったりした土地だ。

そこを開発業者が掘り返して、コンクリートを打って、観光客用のショッピングモールに仕立てた。

敷地の中にどこからか水を引いてきて、人工水路をつくった。そして看板を立てた。

「ほとりの小川で探せる 絶滅危惧種」。

ごていねいに、日本語の他に中国語と英語でも書いてある。「Endangered species you can search on the river.」だそうだ。臆面もない。

こういうのを、えせエコ商売という。

ショッピングモールの中に作った人工水路
看板が立っている
「ほとりの小川で探せる 絶滅危惧種」。はあ? ここ畑とか駐車場だったところだよ。探せませんって。
あちこちに看板が立っている。こっちは「ほとりの小道で探せる絶滅危惧種」だそうだ。
入口の巨大看板。なんでか知らないが、このショッピングモールはとにかく絶滅危惧種を全面的に押し出したいらしい。まあ商売なんですねとしか言いようがない
どうやってセレクトしたのか、その根拠のほうが気になる「ほとりの小川で探せる絶滅危惧種」ラインナップ。大安売り。
こんな人工水路に生き物が喜んで棲むわけがない。それともこの水路へ絶滅危惧種とやらを放流でもするつもりなのか。イワナもカジカもホトケドジョウもイシガメもタガメもゲンゴロウも、絶対に棲めない。それこそ瞬殺で絶滅する。絶滅危惧種というお飾りなしで、ただの水路じゃだめだったのかなあ。
配布しているパンフレット。絶滅危惧種のフェイクな利用は、本来の社会的関心を減耗させる。つまり「げんなり」と言ったところ。ソトコトを思い出した。

看板でもパンフレットでも「探せる」「探せる」とあんまりしつこく主張しているので、よくよく水路の地べたを這いずって探してみると、昭和の20円ガチャガチャで出てきたような「絶滅危惧種のオブジェ」がそこらへんに転がっていました、というのがオチ。なんかこういうの腹たつ。オブジェなんかじゃなくて大事なのはホンモノの自然環境を保全することでしょうに、と思うのは生き物好きの難くせでしょうか。