夏の終わりのオイカワ釣り

今年の夏は毎日うらめしいほどに暑かった。夏なんかはやく終わってくれと祈っていた。それが昨日の夕方は急に秋の風が吹いた。

川に立つといつもの半袖Tシャツでは肌寒いくらい。そうなると今度は、このまま夏が終わってしまうのではと、さびしい。

まだ夏行かないで、と思いながらオイカワ釣りをした。

オイカワは秋が深まるにつれ、昼間でも釣れるようになる。秋の釣りには、夏の釣りとはまた違った繊細な面白さがある。

これからが楽しみだ。

秋にかかってくると微妙に魚の付き場が毎日変化する。真夏のように瀬のどこからでも飛び出てくるというわけにはいかない。今日は対岸の草際にたまっていた。いったん見つけてしまえばこっちのもの。
自作の「ホタル」で。第112号の伝承ハヤ毛鉤の記事は作ってよかった。カラスの羽根で色々巻いている。
キッチュな色のリールと、夏の名残りのオイカワはよく似合う、なんて。クロスオーストリッチを上流から流しこんだら、勢いよく引ったくっていった。まだまだお盛んです。
浅くてゆるい瀬尻の、ごく狭いエリアに群れでかたまっていた。なんでこんなところにと思うが、魚にも言い分があるのだろう。
過ぎ行く夏がもったいなくて夢中で釣った。ふと気づいたらお月様が空高くのぼっていた。フライロッドをぶらぶらさせながら、土手の上をてくてくとひとりで歩いて帰る。胸の奥がなんとなくものがなしくなる。わたしの人生も秋だ。釣りばっかりしてる。
フライの雑誌-第112号 フライの雑誌大特集オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
身近なビッグゲーム 中村善一×島崎憲司郎 異分野対談 
画家の視線とシマザキワールド 後篇
○ニジマスものがたり 最終回 ─研究者として、釣り人として 加藤憲司
○連載陣も絶好調
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『フライの雑誌』第112号
本体1,700円+税〈2017年7月31日発行〉
ISBN 978-4-939003-71-4 AMAZON