この季節の夕方になると、川面で型のいいアユがバンバン跳ねる。あれを自由自在に、フライフィッシングで釣れる方法を発見できたらノーベル賞ものだと、前々から考えている。
のだが、バンバン跳ねているアユを狙って、フライフィッシングでいくらがんばっても完全スルーされるのは、多くの諸氏がお試しの通りだ。日本のアユ釣りで、友釣り、コロガシ釣りといった引っかけ釣法が発展してきた理由を、思い知らされる結果となる。
わたしの場合、地元の川でフライフィッシングを何年もやって、オイカワとカワムツは何千匹と釣ってきたけれど、アユをフライで釣ったのは、交通事故と思われるわずかに1尾だけだ。ほんとはアユも釣りたいのに。
アユが釣れないのがくやしくて、わたしはあえて毎年、「あゆ」込みの、高額な方の年間遊漁券を購入している。いつか釣ってさしあげましょう、という意気込みのあらわれだ。李下に冠をたださずと言いたいところだが、どこかの国の首相が使ってから使いづらくなっちゃった。
今日は、強い瀬に上流から流しこんで微妙に誘っていたストレッチ式アイカザイムの20番に、ドバシャッ! という感じで魚が出た。そのまま荒瀬の中を上流へグイグイ上っていくので、超巨大なオスのオイカワかと色めき立ったが、取り込んでみたらアユだった。
水面を跳ねている連中を狙ったわけではないので、交通事故には変わりない。
でもやっぱりうれしい。
なんでも思い通りになるのなら、釣りなんかしなくていい。思い通りにならないから、釣りなんかしてる。