待ちに待った解禁がやっときて、まとまって出るはずのコカゲロウがパラッとしかでなくて、オオマダラカゲロウのスーパーハッチをみごとに外し、暑い暑いと出渋っているうちにテレストリアルの夏が駆けぬけ、あっというまに、本当にあっというまに、渓流釣りのシーズンが終わった。
秋の入口の一日、今年も秩父の山のなかで、仲間とヤマメとイワナの人工産卵場をつくった。
本来なら放っておいて魚が増えるのが一番だけれど、物理的な諸条件で渓流魚の産卵場所が少なくなってしまっている。そこで人間が手伝って産卵に適した条件の場所をふやし、イワナやヤマメに気にいってもらって卵を産んでもらおう、というのが人工産卵場の発想。
もとはといえば、人間が森を荒らし、ダムとか堰堤とか護岸を乱造し、バンバン殺しまくったせいで魚が減った。だから自然保護だとかコンサベーションだとかといって胸を張れる善行ではなく、むしろ申し訳ないですという反省の気持ちでいっぱいの、刑務作業みたいなものです。