異様に活性が高い

いま北海道は秋のドライフライシーズン最盛期だ。わたしも20代の頃は、体育の日前後を目指して、道東の川と湖へ一週間くらいの釣旅に出かけていた。いまは歩いて2分の地元の川で、夕方だけのオイカワ釣りに興じている。

「釣りは、ふつう、たのしい遊びだが、沈んだ気分をまぎらすために、釣場へ出かける人も多いのである。この世で、志を得られないとき、自分で自分を慰める最良の手段として、釣りが残されている。釣りしかないだろう。」(伊藤桂一『釣りの風景』)

一昨日の夜、ふと思い立って、世代が同じ寄稿者さんの携帯電話(ガラケー)に、地元の川でのオイカワ釣りの写真とともに、「今日はこんなに入れ食いでしたー。」というメールを送りつけた。

すると折り返しで返信をもらった。「あなたはオイカワ釣りに何を求めているんですか?」

わたしは即座に、「人生です。」と返信した。

「いい答えですね。」と褒められた。

この場合、〈あなたは何を求めているのですか〉という質問への返信だったのだから、国語の回答的には、「わたしは〝人生〟を求めています。」という意味になっていたはずだ。

でも、本当はそうじゃなかった。

わたしの言いたいことは、そうじゃなかった。

雨が降った後で活性が異様に高かった
寄ろうとしたら逃げた
自分で言うのもなんだが、今日は魔法のように次から次へとオイカワが釣れ続けた。フライは和式ハヤ毛鉤とストレッチボディ式アイカザイムくずれのセット
くずれてからが本領発揮
リードフライは和式ハヤ毛鉤(112号参照)。背中の傷はサギにやられたのかなぁ。いくつもの死線をくぐり抜けて現在に至るんだろう。釣っちゃったけど。すぐに放すからね
信じられないくらいの数のアタックがあった。オイカワのサイズが1メートルあったらすごいことになるよねと、まじで思う。妄想してる。どこの川でも川はいい。
フライの雑誌-第112号 フライの雑誌大特集オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
身近なビッグゲーム 中村善一×島崎憲司郎 異分野対談 
画家の視線とシマザキワールド 後篇
○ニジマスものがたり 最終回 ─研究者として、釣り人として 加藤憲司
○連載陣も絶好調
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『フライの雑誌』第112号
本体1,700円+税〈2017年7月31日発行〉
ISBN 978-4-939003-71-4 AMAZON
〝わたしは子どもの時分から釣りをやっていて、いつのまにか人生に釣りがにじみついてしまった。〟 『葛西善蔵と釣りがしたい』 堀内正徳=著
(『フライの雑誌』編集人)
ISBN 978-4-939003-55-4
B6判 184ページ / 本体1,500円