あとになにが残る?

肉食魚アリゲーターガー御用 寝屋川のため池
2017年11月19日 大阪日日新聞

最近流行りの、お堀やため池や公園の池の水を抜いて、そこに棲んでる生き物を一定の基準で分別する行為は、一部の関係者が望ましいと思っている自然を人為的にデザインするということで、在来種と外来種がどうこうだから環境保全だよね、では全くないと思うワケです。

環境保全を目指して実施した捕獲の様子は、26日夜のテレビ東京系(テレビ大阪)「緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦」で放映される。

視聴率とれるといいですね。

テレビ東京の当事者が出ている下の対談を全文読んだが、ぜんぜんかみ合ってない。これ対談なのか? という印象。まとめてるはずの日経ビジネスの合いの手が混乱へさらに拍車をかけている。

池の水を抜いて分かったニッポンの危機
国立環境研究所・五箇公一氏×テレビ東京・伊藤隆行氏 特別対談

池の水を抜くだけで、2時間の特番ができたらいいなと。社内では猛反対を受けましたが、もっともらしい理由をつけて説明したら、「やってみれば」ということになりました。(伊藤)

 外来種の管理は国がやらなくてはいけないのが実情です。ただ、限界があります。なぜなら、どの生き物を守るかは、そこに住む人の価値観によるところが大きいからです。「タナゴを守りたい」「フナを守りたい」といった具合に地域によって大事にする生き物が違うので、「これはダメ」と国が法律で一律に排除するやり方は向きません。

 一方で、外来種が悪いとは必ずしも言えません。もとはといえば、持ってきた人間、飼っていた人間の都合にすぎないんです。例えばアメリカザリガニやウシガエルは食用として輸入していて、戦後間もない頃は日本国民を支えていた食料であったのは間違いありません。ところが、飽食の時代になって食べなくなったから、途端に外来種として扱われ、駆除の対象になった。人間の価値観や都合、時代によって、外来種の立ち位置は変わってきます。

 そういった意味で、法律という固いものよりは、地域住民がその時その時でその生き物をどうするかを決められる方が理想的でしょう。(五箇)

人間もふくめて生き物の暮らしている世の中は、多種多様な要素が、複雑にややこしくからみ合っている。からみあっているからこそ、維持されている。

だから、「ややこしい話はなしにして、いっぺん水ぜんぶ抜いちゃえばいい。」的な考え方は、それこそもっともらしい目先の絵にはなるんだろうけれど、長い目で見たら、自分たちが暮らしている大切な池の水を抜いているのと同じ。

人間はその気になれば、そこらじゅうの池の水、ぜんぶ抜くことができる。

あとになにが残るんだろう。

「肉食魚アリゲーターガー御用 寝屋川のため池
2017年11月19日 大阪日日新聞

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉(著)|ブラックバスは、濡れ衣だ! 異色のベストセラー
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桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
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『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)
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