だれも書かなかったクマの本、初稿を拝受しました。読者の皆様にお届けできるまで、いましばらくお待ちください。
(2018年10月31日 編集部)
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『ツキノワグマ すぐそこにいる野生動物』(山﨑晃司著)は、本文冒頭、いきなり
どうも最近、ツキノワグマと人間との関係が望まない方向に進んでいる。
という一文で始まる。クマ研究者としてクマをとりまく昨今の日本の社会状況への悩ましさを隠さない。著者の山﨑晃司さんには、フライの雑誌-第113号の特集へ、「クマとフライフィッシング」と題したエッセイを寄稿していただいた。
大事なことは、一般市民にクマについてのさらなる理解を通じ、醸成されたクマを含む自然観を養ってもらい、意見として行政に表明してもらうことである。
事故の後、いくつもの関連する書籍が出版され、版を重ねている。しかし、急いで執筆されたためか粗さが目立ったり、販売戦略もあるので致し方ないのだろうが、誤解を受けるようなセンセーショナルなタイトルだったりするものもある。
かくいう私も、この8月に本を一冊出版している(『ツキノワグマ すぐそこにいる野生動物』東京大学出版会)。この本は事故の以前から執筆を開始した普及書で、時間をかけて丁寧にまとめてみた。内容も盛り沢山で、最新のクマの情報を網羅していると自負している。
そこで次の一手は、数年前の構想以来まだ実現していない、さらにくだけた面白く読みやすいクマ本の出版である。
山﨑晃司さんの、物腰は柔らかいけれどグイグイと引っ張ってゆく巧みな文章は、本誌の連載「クマと遭ったらどうなるか」でも読者から大人気だった。
〝だれも書かなかったクマの本〟は、フライの雑誌社から近日発行予定です。