釣りをしてればそれで幸せ

釣り人は、いい釣りをして、たのしく人生を送れれば、それだけで幸せな生きものだ。けれど最近の日本の世相を見回すと、楽しい釣りのジャマをするあれやこれやがたいへん多い。子どもたちの世代へつなげたい釣りを考えると、見通しはさらに危うい。

いやなことは見なければいいという考えもあるけれど、どうしても見えてしまうし、いやがおうでも巻き込まれてしまう。そういうのは釣り人的に困る。ひとりひとりが、それぞれの楽しい釣りをずっと続けられる未来でありますように。

タンカー事故で油が奄美や沖縄へ漂着している事件、ニッポン国はいつまで知らんぷりしてるんだろう。因果関係が不明で、とかふざけてるのかな。こういう時に働くために国は国民から税金とってる。環境省、水産庁、今こそ働いてください。

山口県豊北町矢玉漁協の漁師が、「原発建設が国益というなら、オレがブリを獲り続けるのも国民のためだ」と言って、原発拒否を貫き通したというエピソードを、水口先生の文章に教えてもらった。

「福島第一原発の大事故のことを考えれば、この漁師は結局原発をつくらせなかったことにより、豊北町、山口県、中国地方日本海側、いや日本の漁業を大災害から未然に守ったと言える。
公共のため、国益のため、国家のためと少しずつずれていって、戦争をするために国家機密法や治安維持法が必要となってくる。」

【特別公開】押しつけの〝公益〟より〝人間としての自由〟(水口憲哉)

国家は国民のためになにをやってくれる。

それはそれとして、昨年末に河口湖でワカサギ600匹釣って以来、管釣りでのちょい釣りくらいで、「海フライの本3」の編集にかかりきりのため、まともに釣りしてない。鹿児島へ行ったときも暴風で竿出せなかったし。わたしの中のスリーパーセルが起動してしまいそう。

Amazonプライムで北米ロッキーの釣りビデオ。老若男女がボートからでかいブラウン釣って喜んでる。地元のアウトフィッターはいい仕事して、町も潤ってる。

日本だとこんな場合に、「この魚はニッポン国にいてはいけない魚だ」、「ニッポン固有の生態系が」、「駆除の費用を出してくれ」、「いっそ川の水全部抜く」とか。

下にいるのは蒲田くん。

ブラウンのでかいのが目玉
この川のマス釣りはほんとに楽しいですよ、とそこらへんのお姉さんがうれしそう
桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
〈…ダム建設に河川の漁協が反対する構図は、ありそうで実はどこにでもあることではない。というのは日本の川でダムや河口堰の建設されていない川を探すのが大変という実態があるからである。筆者は最上川の支流である小国川を訪ねるにあたり、小国川のアユやサケ、マスについて調べていった。その際、最上川本流と小国川にまだダムがないことのもつ意味、その素晴らしさにあらためて気付かされた。…〉 『桜鱒の棲む川』(水口憲哉)
『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)
『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉)
フライの雑誌 113(2017-18冬春号): ワイド特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|各界で活躍中の個性派釣り人が熱く語る〝次の一手〟とは。川野信之/黒石真宏/碓井昭司/本村雅宏/渋谷直人/平野貴士/坂田潤一/遠藤早都治/加藤るみ/田中祐介/山本智/中原一歩/山﨑晃司
○天国の羽舟さんに|島崎憲司郎
○〈SHIMAZAKI FLIES〉シマザキフライズ・プロジェクトの現在
○連載陣も絶好調
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『フライの雑誌』第113号
本体1,700円+税〈2017年11月30日発行〉
ISBN 978-4-939003-72-1 AMAZON