(笑い)で殺される生き物たち

テレビ東京「池の水ぜんぶ抜く」での生き物の扱いが酷いということで、批判が急増している。今まで表に出なかっただけだろう。テレ東は知恵と工夫とアニメでがんばってる印象だったが、経済番組で儲けだすとグダグダになった。

> テレ東社長「池の水―」撮影時の在来種大量死で謝罪

在来種を保全するお題目の番組で在来種を大量死させているんだから、企画を中止するのが妥当。なのに謝罪だけしてレギュラー放送化へ前を向く不思議。いったいだれに謝罪しているのか。生き物? 社長が謝っても殺した命は生き返らない。

フライの雑誌-第61号(2003)に、〝〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉は、ヘンだ。マスコミ外来魚報道のばかばかしい中身に呆れる〟という記事を掲載した。

「一応ブルーギルの写真、撮っておきました。えらいかわいいけど。」
「地曳き網だってよ、しょぼー。」
「こりゃ絵にならないなー。あ、弁当食ってるところ、押えとけばよかった。戦士たちのしばしの休息、みたいな。がんばってるんですよって」
明らかにばかにしているのだ。
〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉

外来魚問題をあおるマスコミと、ブームに便乗して発言する人々は、環境や生態系をファッションのように身にまとい、メシの種にするために、火のないところに煙を立たせようとする。そのうさん臭さと不誠実に、私は嫌悪感を覚える。
〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉

生き物や魚のことを知らない、釣りには興味がない、それならそれでまったくかまわないのだ。知らないことを、本当は興味がないことを、さも分かった風にしたり顔で語り、ヒステリックに騒ぎたてるから、わい曲された情報が世の中に出回ることになる。いち釣り人として、そういうのはかんべんして欲しいのだ。
〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉

記事中で、「ブルーギルだっけ、マウスブルーディングするのは。あれ、ブラックバスだったかな。」と軽い調子で笑っていたTBSの男性レポーターは、のちに東京都知事選挙に立候補してあっけなく落選した方である。この男と小池百合子が都知事を争うっていうのだから都民も悲惨だ。

今年中に100個を突破したいですね。目標は“年内100池”です(笑い)

越山P×伊藤P インタビュー テレ東「池の水」|スポニチアネックス

金儲けのタネを見つけて喜んでいるようにしか見えない。(笑い)で殺される生き物がいる。

〈皇居のお濠のかいぼり作戦〉から15年たって、マスコミは何ら進歩していないばかりか、劣化し、さらに軽薄化している。

いまテレ東は、水ぜんぶ抜く池を全国で探し回っているらしい。

「池の水ぜんぶ抜く前にテレ東の水ぜんぶ抜けばいい。」

なんて、生き物に言われちゃうよ。

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[フライの雑誌-直送便] 「フライの雑誌」次号第114号は6月に発行します 
海フライの本3 海のフライフィッシング教書

魔魚狩り ブラックバスはなぜ殺されるのか 水口憲哉(著)|ブラックバスは、濡れ衣だ! 異色のベストセラー
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桜鱒の棲む川 水口憲哉(2010)
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『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著/フライの雑誌社刊)
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