究極のストリーマー〈白の#10〉のタイイング動画公開

新刊『海フライの本3 海のフライフィッシング教書』著者で、さいきんユーチューバーと化している中馬達雄さんが、同書の目玉のひとつともいえる〈白の#10〉について、なんとフライタイイングの動画をYouTubeへアップしてしまいました。

この〈白の#10〉、別名〈えさフライ〉は、まじめによく釣れます。

不肖編集部も、この〈えさフライ〉で、以下のような魚種を釣り上げています。ヤマメ、イワナ、ニジマス、ブラウントラウト、マアジ、カマス、ムツ、コトヒキ、ネンブツダイ、ダツ、セイゴ、フッコ、ジャイアントになるはずのトレバリー、ミーバイ、よく分からない南国の魚などなど。

とくにヒラメには、釣った本人がいちばん驚きました。

おかげさまで、「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」は、たいへんよく売れています。(当社比) せっかくなので中馬さんの〈白の#10〉タイイング動画とともに、コラム全文を紹介します。

COLUMN

究極のストリーマー、「白の#10」

ある年の冬、夜明け直後のギンガメアジのライズを釣っていました。ひと朝だけ#6のマラブーマツーカ5㎝で入れ食いしましたが、後はポワーッというライズだけで完全に無視されました。

日が昇ってからはいつものサイズはヒットするものの、大型は釣れませんでした。次のシーズンもフライがわからないまま、出口の見えない試行錯誤が続きました。

ある朝、若い漁師に「アミが見えねえのか。」と馬鹿にされました。生きているアミは透明で見えませんでした。

透明なアミをいかにしてフライにするか。透明もしくは半透明ということは、光は透過します。透明は、白という光りの全反射で置き換えられるかもしれない。

そうして誕生したのが白の#10、通称えさフライです。

#10〜14サイズは稚魚だけでなく、エビ甲殻類のイミテーションにも使えます。形はむりやりこじつけても全然違いますが、ゾエアもアミも透明に近い点が共通項です。ヤマメ釣りと同じように、ライズパターンを見て#4や#6からストンと#12に落としたりします。

面白おかしく物事を複雑化して、ものすごいエネルギーと時間をかけて、たどり着いたところが、ただの白いフライだったというわけです。

ビッグフライ=ビッグフィッシュという幻想があります。大型魚にとっては、微小なプランクトンや仔魚を食べるよりミノーを食べる方がたしかに効率はいいのですが、逃げまどうミノーを食べ損ねている大型魚もよく見ます。

こういう時、見えている5〜15㎝の小魚にフライサイズを合わせても、なかなかヒットが続きません。白の#10はそんな見えていないエサの最大公約数になります。

この小さな白いフライで釣った実績のある魚種は以下の通りです。

セイゴ、フッコ、スズキ、ハマチ、カンパチ、マアジ、メアジ、マルアジ(アオアジ)、ムロアジ、カマス、ギンガメアジ、ロウニンアジ、カスミアジ、コバンアジ、イトヒキアジ、ホソヒラアジ、カイワリ、マルヒラアジ、コチ、ヒラメ、コトヒキ、コノシロ、ニベ、イケカツオ、ソーダカツオ、ムツ、アオヤガラ、ダツ。

すべて表層で釣りました。

餌の最大公約数という意味をお分かりいただけるでしょう。

私がフライパターンについて色の意味を語るのは、この「えさフライ」の白だけです。

海フライの本3 海のフライフィッシング教書
(中馬達雄著) 80ページより

海フライの本3 海のフライフィッシング教書」より

[フライの雑誌-直送便] 最新号が出るごとに直送します。次号第114号は6月に発行します
フライの雑誌 113(2017-18冬春号): ワイド特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|天国の羽舟さんに|島崎憲司郎
○〈SHIMAZAKI FLIES〉シマザキフライズ・プロジェクトの現在AMAZON
フライの雑誌-第112号 オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
堤防からのヒラメ、72㎝、4kg級。〈白の#10〉で。
フライの雑誌社の単行本新刊「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」
海フライ唯一の教科書。「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」