次号『フライの雑誌』第115号、日本釣り場論78は「ゼロからわかる 漁協ってなんだろう」というタイトルで編集部が6ページ書きました。書き出しはこんな感じです。
◎日本国内の川と湖(内水面と呼ぶ)の多くには、漁業権が設定されている。漁業権の設定された川と湖で釣り人が釣りをする際は、漁業権を保持する漁業協同組合(漁協)へ遊漁料を支払う。
遊漁料さえ払えば、国際的に見ればかなり自由度の高い釣りを楽しめる。漁協を軸とした内水面漁業制度がその背景を担保している。
本誌では過去たびたび、もういいやというくらいに、漁協と釣り人の関係について取り上げている。釣りと法律や政治はそぐわないと思われるかもしれないが、釣りと法律や政治は切りはなせない。
社会を見渡してこの数年間、釣り人と漁協の関係を思い考えさせられるできごとが重なっている。そこで改めて〈漁協ってなんだろう〉を、今までそういうことに興味がなかった方にも、分りやすくまとめみたい。 (編集部/堀内)
本文はこんな感じで始まります。
まず、日本の内水面漁業制度のアウトライン、漁業権をめぐる現状について知ろう。
『Backcast』〈日本のマス釣りを知っていますか〉(堀内2016)から、漁協と漁業権に関する記述を引く。法律絡みでどうしても面倒くさい言い回しになってしまうが、少しだけがまんしてください。
最初に日本における釣り人の法律的な立ち位置を把握しよう。
日本の渓流域で生息数が多く、フライフィッシャーから広く愛されているサケ科魚類はヤマメ、アマゴ、イワナ、ニジマスの4種だ。日本の川が育むことができるマス類の資源量は、釣り人の数に対して十分とは言えない。日本のほとんどの川と湖には漁業協同組合が設置されており、漁業権を持つ代わりに水産動植物を増殖する義務が法律で課せられている。
日本の釣り場が法律上、釣り場ではなくて漁場であるということに、日本で釣りを楽しむ上で障害となる諸問題の要因の一つがある。漁業者以外の釣り人には、〈遊びのために漁をする人々〉=遊漁者という呼称を与えられている。
実際のところ、たとえばあなたが愛する地元の釣り場で何らかのトラブルが起きた場合、釣り人は都道府県の水産行政か、国交省の下部組織である河川事務所を相手に折衝することになる。
筆者にも経験があるが、その時釣りをとりまく法律上の成り立ちを知っていないと、話にならない。先方は、
小見出しはこんな感じです。
◇水産庁へ聞いてみた。鳴り物入りで始まった内水面漁業振興法はその後どうなってます?
◇注目したい各地の漁協
◇ダム賛成小国川漁協その後
◇釣りができない阿武隈川
◇年2300万円の賠償金
◇漁協活動のモチベーション
◇どこまでの管理を望むのか
◇みんなは一人のために
釣り場の問題について事例を挙げて解きあかす論考は、小誌の得意とするところです。漁協、行政、水産庁への独自取材も行ないました。
わたしたちの大切な釣り場の未来は、わたしたち釣り人が変えられます。あるいは、変えないこともできます。そのために身につける必要のある知識を、次号の「日本釣り場論78」で分かりやすくまとめました。多くの方へお届けしたいと思います。
『フライの雑誌』第115号は近日中に内容を公開します。10月15日発行です。どうぞよろしくお願いします。
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