おいしい〆鱒(シメマス)のつくりかた

ここ数年でいちばんおいしいサンマを食べた。うますぎて写真を撮る余裕はなかりけり。サンマのほかにも色々おいしいものを走り抜けた後のエチオピアが、また感動的においしかった。そして翌日は釣りだ。これ以上の幸せがあろうか。

おいしいものを食べるのが好きな人は、とくにおいしいものを口にしたとき、感動のあまりに「うまいものを食べられなくなったらオワリ」、と口走ることがままある。派生して、すごく楽しい釣りをしたあとの興奮の勢いで、「釣りができなくなったらおれオシマイ」のような言い方をする人もいる。

気持ちは分かるが、あれそれできなくなったらオワリだとかオシマイだとかの言い方は、自分はやめようと思っている。色々な事情で、おいしいものを食べられなくなったおいしいものが好きな人、釣りができなくなった釣り好きの人たちとこれまでつきあってきた結果、つよくそう思う。自分が好きなあれやそれやを好きであればあるほどに、見ている周りの人をつらくさせる。好きなことができなくなっても人生は続いていくし、周りの人は続いてほしいと思っている。

サンマの場で、わたしが釣り雑誌の人と知った初対面の素敵なSさんから、「好きな釣りを追究する人生っていいですね。」的なことを、とても感じよく言われた。ああ、でもそれなんかちょっと違うんです、と違和感を覚えたが、例によってその場ではあーとかうーとかで、うまく言語化できなかった。

帰りの電車の中で、Sさんへの返事をずっと考えていた。がんばって、「釣りはそんな甘いものじゃないんです。」かな。「釣りはもっとずっとおっかないものなんですよ。」とか。かっこつけて「マクリーンの川」の冒頭、〈わたしたちの家族では宗教とフライフィッシングの間に、はっきりとした境界線はなかった。〉を持ち出しちゃうかとも思うが、それもまた違う。

とりあえずサンマの場では、炭火で焼いたサンマをうまいうまいと食べているSさんに、「去年だけでわたしの釣りの知り合い7人離婚してます。」とハッキリ伝えておいたことを報告したい。離婚した人数は少し盛った。反応は微妙だった。ツーステップくらい踏み外した気がする。

すみません、たいへんお待たせしました。最新第115号が、Amazonさんで〈在庫あり〉になりました。追加をいただいたので本日納品します。

本日は第115号発行記念の社内レジャー・デー。〈慣れてないことをやろう〉を今日のコンセプトにしたので、持ち出したのは11フィート・5番のダブルのグラスロッド。きわめて扱いづらくて大変よかった。フライパターンも色々と慣れていないものばかりを結んだ。とうぜん思い通りにいかない。あたりも少ない。とりわけこの日は食いが渋くてたいへん難儀した。最初のうちは我慢したが、結局、緑のクロスオーストリッチのウェイトなしに逃げた。フライを換えたら連発。サカナもげんきんなものだ。神様教えて。釣りの一日はなんでこんなに短いんですか。

釣った鱒で〆鱒をつくった。おいしい。マスを〆るとおいしいことは丸沼環湖荘の夕食で教えてもらった。また釣ってこないと。さくにして塩をふって一時間水分をとり、よい米酢に浸けて片面10分。〆加減は調整の余地がある。

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フライの雑誌 113(2017-18冬春号): ワイド特集◎釣り人エッセイ〈次の一手〉|天国の羽舟さんに|島崎憲司郎
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フライの雑誌-第112号 オイカワ/カワムツのフライフィッシング(2)
フライの雑誌-第111号 よく釣れる隣人のシマザキフライズ Shimazaki Flies
フライの雑誌社の単行本新刊「海フライの本3 海のフライフィッシング教書」
島崎憲司郎 著・写真・イラスト「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
〈フライフィッシングの会〉さんはフライフィッシングをこれから始める新しいメンバーに『水生昆虫アルバム』を紹介しているという。上州屋八王子店さんが主催している初心者向け月一開催の高橋章さんフライタイイング教室でも「水生昆虫アルバム」を常時かたわらにおいて、タイイングを進めているとのこと。初版から21年たってもこうして読み継がれている。版元冥利に尽きるとはこのこと。 島崎憲司郎 著・写真・イラスト 水生昆虫と魚とフライフィッシングの本質的な関係を独特の筆致とまったく新しい視点で展開する衝撃の一冊。釣りと魚と自然にまつわる新しい古典。「新装版 水生昆虫アルバム A FLY FISHER’S VIEW」
『葛西善蔵と釣りがしたい』(堀内正徳)
『葛西善蔵と釣りがしたい』