こういう関係性は釣具店と客のあるべき姿と思う。
釣具店に限らずなのは当然だけど「どこで買っても同じ」と思われては、小売店は通販に最初から負け戦だ。店員さんは自動販売機じゃない。そのお店で買いたい理由を店側が提供しないといけない。あるいは一歩先へ進んで、客が地域のコミューンたる店を守らないといけない。
互いに互いの質を高めて支えあえば、もっと楽しくて深くて長続きする関係を構築できる。店は客を選び、客は店を選ぶ。店は客に育てられ、客は店に育てられる。何業でも同じ。昔から変わらない。
2003年の第60号で「がんばれ、フライショップ!」という特集を組んだ。リードはこんな感じだった。(エラそうな感じですみませんね)
一般的な釣具店、ルアー・フライ専門店、フライフィッシング専門店、通信販売、個人輸入、WEBサイト販売専門の釣具店などフライ用品を扱う店のバリエーションは様々だ。その気になれば、今の私たちはフライフィッシング用品をどこの店からでも買うことができる。
しかしながら、釣り人の多くは、せっかく買うならと、自分のお気に入りの「フライショップ」を持ち、買い物そのものをフライフィッシングという趣味の一環で楽しんでいるのではないだろうか。
そこで、これからの時代に釣り人が利用したくなる「フライショップ」像はどんなものなのか、私たちはどのような「フライショップ」を相棒として、フライフィッシングという奥深い趣味を探求していくのかにスポットを当てた。
〈暗い世相を生きる釣り人にとって、フライショップは砂漠の中のオアシスだ。〉というようなことも書いた。
こっちも若かったんで身勝手な、業界へケンカ売ってんのか、みたいな雰囲気の特集になった。読者からの受けはよかったけど、当然、釣り具業界の多くの先輩から嫌われた。でも若僧の熱意を汲んで理解してくれる諸先輩もいた。16年たった今、消えた店もあれば続いている店もあり、新しく歴史を刻み始めた店もある。「釣具店はオアシスだ」、「わたしたちのアジールだ」という思いは変わらない。
というわけで、古い記事を紹介します。『フライの雑誌』第7号(1988年)から、元・つるや釣具店店主、五十嵐忠造さんのインタビュー記事です。タイトルは「このままいくと日本の釣り業界は滅亡します」。記事の背景はこちら。
フライショップうんぬんとは、またちょっと角度が違うかもしれないけど、ご興味があれば読んでみてください。31年たって日本の釣り業界はまだ滅亡していない。しこうしてその中身と展望は、というところです。
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> つるや釣具店 第30回 ハンドクラフト展
2.14~2.17 都立産業貿易センター