「私はマタギですなんて言うのは、あまりにも畏れ多くてよ。」

ETV特集の「熊を崇(あが)め 熊を撃つ」はよい番組だった。

「あまりにもすごい生き物だからな。偉大な生き物だからな。熊はな。勉強になることいっぱい教えてくれる。熊は。うん。」「自然のすばらしさな。すごいよな。森はやっぱり生きてるのや。」「私はマタギですなんて言うのは、あまりにも畏れ多くてよ。」「(熊は)神様。神様だ、俺からすれば。」

(なぜ熊を獲るんですか?)

「楽しみで獲るんじゃねえよ。これは事実だ。」「俺の人生そのものみたいな、生き方。」「何百年続いた歴史の中だって、いまだに同じこと考えて、同じことやっているのよ。でもそうやって生き延びてきているんだよ。生きているんだよ。いまだに。」

「夢は熊を追って行くんだけど、現実も過去も見ていかねば。」「流れが…、時代の流れ。だからマタギもそうやってなくなってきたんだね。流されねえできたのが俺らよ。」「時間の問題なんだろうけども。」

「今まで守ってきた先祖代々、ずっとやってきた。家族も、ずっと続いてきた家も、離せば何にもなくなるべ。家もお墓も生まれたところもなくなる。」

鳥海マタギにとって、熊は山の神である。敬い、祀り、崇めている。熊を三頭獲れば一年暮らせたという昔と違い、現代のマタギには金銭的な見返りはない。

山村の田畑は貧しい。若いころは出稼ぎで苦労した。今は冬場の除雪作業を請けている。おかげで家族と暮らせるようになった。熊撃ちは日常の賃仕事の合間に行う。しかし山の危険は昔と変わらない。家族に心配されながら山に入り、熊を追う。

自分をマタギと呼ぶのは畏れ多いと、マタギは言う。熊を撃つのは楽しいことではない。なぜ熊を獲るのかと番組ディレクターに聞かれて、そんなことを考えたことはないと言うように、「俺の人生そのものみたいな、生き方。」と言葉を置く。

熊を崇め、熊を慈しみ、熊を殺める。

そうすることでマタギは、
自分が熊に生かされていることを知る。

熊に生かされ、山に生かされ、
自然に生かされていることを知る。

ナレーションの文言もよかった。
再放送があればおすすめします。

釣り師は、自分が釣り師だと思っている。釣り師であることと、釣りの回数や釣果とは関係がない。身すぎ、世すぎの仕事は釣りの他にある。自分がなぜ釣りをするのかとはあまり考えない。マタギの真似をして「人生そのものみたいな、」とかっこつけるには、釣りはけっこう楽しい。

「おい、お前が物置の奥に隠していた〈心の扉 〜ちえみMyself〜〉を見つけたぞ。」
「すみませんでした旦那、イントロ聞かせてもらえれば全曲そらでいけます。」
「なにが好きなんだ。素直に吐け。」
「〈雨上がりご用心〉と〈とまどいの週末〉です。
「そっちか。」
「そっちです。」
「死刑だ。」
「そんな旦那、」
「〈リ・ボ・ン〉くらいに言っておけばよかったものを馬鹿め。」

第116号、おかげさまで評判いいです。読者からいただいたハガキや感想メールのうれしい内容を、筆者や著者へ伝えるときの、編集者無双感たるや。ありがとうございます。

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