釣りが不首尾だと、家族への不機嫌を隠しきれない。
近所の子どもも、いまの俺に「釣れた?」とか聞くんじゃねえよ。ったくよう。俺の周りだけヤマメいなかったんだっつうの。るせえよ。寒かったんだよ。虫だっていねえよ。
釣れなくて帰ってきて家族に八つ当たりするのは、いかれた釣り師として正しい有り様だが、正直申し上げて一抹の良心の呵責を感じないでもない。
家族よすまん。
「〈作〉が書けん。お前のせいだ。」と酒を呑んでおせいさんをぶん殴っていた葛西善蔵さんと、精神の根本構造は同じだ。最低のくずである。
釣れていればなんの問題もなかった。
あのライズをとれていれば世界は平和だった。
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買うだけ買って放り出してあったバカ高い洋書を、今になって読む必要に迫られて家探ししたが、見つからない。また買うパターンかよ、魚釣れないとまじでロクなことないな。ふざけんなコノヤロー。とキレかけたが、本出てきた。よかったです。
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働かないで酒ばかり呑んでいる葛西善蔵さんは、〈月に35円もあれば家族五人が飢えずに暮らせる。それくらいどこかから出てきてもいいのに〉、と書いた。35円は今の30〜35万円くらい。わたしも働かないで毎日釣りしたい。月に20円でいいです。

釣りがうまくいかないと(次こそは!)と自分なりに策を練ってまた釣りに行く。けど、うまくいかない。でまた(次こそは!)と新しいフライを巻いて、ワクワクしながら釣りに行く。またやられる。やられればやられるほど、深い沼にはまっていく。ギャンブル中毒そのもの。まさに今季のわたし。

読者カードをいただいた。今号の特集は、現役バリバリで釣り場に立っている読者からの評価が高いようだ。そういうのうれしい。ありがとうございます。ガンガン釣りをしている人にも、何かの事情で思うように釣りをできていない人にも、釣りの楽しさと喜びを感じてもらえる釣りの本を作りたい。

フライの雑誌-第116号 小さいフライとその釣り 隣人の〈小さいフライ〉ボックス|主要〈小さいフック〉原寸大・カタログ 全88種類|本音で語る〈小さいフライフック〉座談会|各種〈小さいフライフック〉の大検証|〈小さいフライ〉の釣り場と釣り方の実際|〈小さいフライ〉エッセイ 全60ページ超!
70年ぶりの漁業法改変に突っ込む|もっと釣れる海フライ|新刊〈ムーン・ベアも月を見ている〉プレビュー掲載
第116号からの【直送便】はこちらからお申し込みください 2019年2月14日発行


「ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線」






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