見るまえに飛ばない

あ、もう18時じゃん!
ということですべてを放り出して
いつもの川へ行った。
それも人生だ。

ライズだらけ、完全無風のフラットの釣りは難しい。2、3キャストごとにフライを4、5本も結び替えてやっとこの壊れかけたオポッサムエルクに行き着いた。24番。要は小さいフライでないと食わない日だったんですね、という結論。べつにスノッブ気取って小さいフライを使っているわけじゃない。小さいフライでないと魚が反応してくれない現実がある。小さいフライがスノッブなのかどうかはおいといて。

ライズありすぎるときに魚を食わせるにはちょっとしたコツがある。

それにしてもドライにフッキング悪いなあと思ったら、今日はスイングの釣りをやるつもりで6フィートのショートロッドを持ってきていたのだった。ドライの場合、ロッドは長い方がアワセは合いやすい。6フィートと7半とではぜんぜん違う。

知り合いの近所の子ども(と呼ぶにはいつのまにか薹のたつ年齢になったようなので、今後は“兄ちゃん”)が久しぶりに電話をかけてきて、今から川へ行っていいか、と聞いてきた。べつにいいんだよ、来たいなら来ればいいじゃん、と答えたらほんとに来た。まあそこそこ釣っていた。兄ちゃんはけっこう釣る。

わたしが最後の最後にちょい番長を釣った。兄ちゃんに見せて「ほら、ちょい番長だ」と自慢したら、鼻をならして「は。ほんとにちょい番長だね」。だからちょいだって言ってるじゃん。

兄ちゃんはこの石をトントントンと跳んでこっちに渡って来た。帰るときもトントントンと跳んで帰っていった。わたしも真似してつい跳びかけたが、絶対に落ちると思い、やめた。見るまえに飛ぶどころか、見ても見なくても飛ばない大人になってしまった。

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