フライの雑誌-第112号(2017年7月31日発行 品切)から、[TOPICS]を公開します。副題は「前号から今号までの間に起きた、釣り人に関係あるかもしれないトピックス」、編集部まとめです。3項目あります。
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TOPICS|編集部まとめ
(フライの雑誌-第112号掲載 2017年7月31日発行)
前号から今号までの間に起きた、釣り人に関係あるかもしれないトピックス
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○遊漁規則を都道府県庁のホームページにアップしてもらいましょう
●小社刊『イワナをもっと増やしたい!』(2008)は、イワナを始めとする渓流魚を増やす方法を、釣り人に身近な視点から分かりやすく説いた楽しい一冊だ。著者の中村智幸氏(中央水研・内水面研究センター勤務)は、長年、内水面(川と湖)の魚族増殖と保護の研究に関わっている。漁協からの講演依頼も多い。
●中村氏は業務や個人的経験で知り得た内水面増殖に関する情報を、読者登録した関係者へメールマガジンで配信している。読者は各地の水産行政担当者、水産研究者、水産教育関係者、漁協、釣り人など、多数にのぼる。
●2017年7月5日に発行された中村氏のメルマガから、釣り人に関係の深い〈都道府県のホームページへの遊漁規則のアップ〉のテーマを紹介したい。
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都道府県が自身の都道府県の漁協の遊漁規則を都道府県のホームページにアップすることができます。
都道府県の職員さんに、「遊漁規則を都道府県のホームページにアップしてはいかがですか」と申し上げると、結構多くの職員さんが、「規則の認可は知事が行うが、規則は漁協のものなので、漁協の了承無しに都道府県のホームページにアップすることはできない」と言います。これは正しくありません。
漁業法第129条第7項に、「都道府県知事は農林水産省令で定める事項を公示しなければならない」と規定されています。この「定める事項」は漁業法施行規則第14条に定められており、遊漁規則に規定された事項は公示しなければならないとされています。公示されたものをホームページに掲載することになるので、漁協の了承を得る必要はありません。このことは水産庁さんに確認しました。
遊漁者に「遊漁について何か要望はありますか? 不満はありますか?」とアンケートを取ったところ、「釣りに行こうとする川や湖の漁協の遊漁規則を読もうと思っても、たいていどこにも掲示されていないので、読むことができない。組合長さんの自宅のこたつの上が漁協の事務所みたいな漁協が多く、そのような漁協にホームページを開設してくれ、そのホームページに遊漁規則をアップしてくれと言っても無理だろうから、せめて県庁のホームページにアップして欲しい」という要望が多いです。
遊漁者の利便性のため、遊漁者に遊漁規則を守ってもらうために、遊漁規則を都道府県庁のホームページにアップすることは大切だと思います。
都道府県の内水面漁連のホームページにアップするという方法もありますが、漁連に加盟していない漁協もあるので、アップする先はやはり都道府県庁のホームページが良いと思います。
中央水研・内水面研究センター 中村
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●川や湖で釣りをする際には、都道府県ごとに定められた内水面漁業調整規則と、漁業組合が定めた遊漁規則を守らなければならない。これまでは規則の内容を知ること自体が困難だった。
●釣り人が根気づよく働きかけた結果、現在は水産庁のウェブサイト「遊漁の部屋」に各都道府県の水産窓口へのリンクが掲載されている。リンクをたどれば内水面漁業調整規則を知ることはできる。
●しかし、遊漁規則については、多くの内水面漁協がウェブサイトを開設しておらず、電話もつながりづらい状況にある。一般の釣り人が釣りをする前に各漁協の遊漁規則を知るという当たり前のことがたいへん難しい。知らせる努力もしていないのに、規則を守れというのは無理だ。
●釣り人はどうすればいいか。各都道府県の水産窓口へ〈漁業権を認可している内水面漁協の遊漁規則を公示してください。根拠は漁業法第129条第7項と施行規則第14条です。掲載場所は都道府県庁のホームページを希望します。〉と電話やメールで要望することができます、という提案を中村氏メルマガから読み取れる。
●水産担当の行政マンには釣り好き率が高い。やってみると分かるが、釣り人が紳士的に要望すれば、おおむね好意的に対応してくれるものである。行政への電話一本で釣り場がよりよく変わることもある。
「ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線」